BSAA研究員として頑張る3


「(あ、フィオさんだ)」
「おいでおいで。うん、おいしいパンでしょ。このパンで作ったフルーツサンドはとってもおいしいんだよ。かけらで悪いけど、おすそ分けね。えへへ」
「(日本語? 鳥と話してる…)」


「フィオを見なかったかしら」
「ジルじゃないか。フィオなら此処には来てないな…」
「おかしいわね、研究室で待ってなさいって言ったのに居ないし…」
「あれ、ジルさん?」
「こんにちはピアーズ。あなた『C』を…ああ、フィオを見なかった?」
「フィオさん? ああ、中庭で昼食を取ってるみたいでしたよ」
「昼食ですって!? あの子、私と約束したことすっかり忘れてるのね…!」
「約束? ジル、少し落ち着…」
「クリス!ピアーズ! 昼食まだよね?食べに行くわよ!」
「はぁ?」
「えっ?」



「フィオ!!」
「わあっ! あっ鳥が… ……………ジルさん?」
「『ジルさん?』じゃないわよ。あなた、なんでこんなところにいるのよ。私とお昼食べる約束はどうしたのかしら?」
「…はわ、」
「…まあ、いいわ。まだ残ってるみたいだし、食堂に行って続きを食べましょ。みんなでね」
「みんな…?」
「やあ、フィオ」
「お久しぶりです、フィオさん」
「クリスさん! ピアーズさん!」
「久しぶりの大所帯の食事ね。行きましょ、フィオ」
「は、はい」


「わあぁ…人がいっぱい…」
「ピアーズはBコースでいいな?」
「はい」
「じゃあピアーズはフィオと一緒に席を取っておいて。私とクリスで注文入れてくるから。フィオ、迷子にならないようにピアーズに付いていなさいよ?」
「わ、わかった」
「フィオをよろしくね、ピアーズ」
「はい」
「なんだ嬢ちゃん、部外者か?」
「あの、私は…」
「BSAA欧州本部の研究員の方だ」
「あ?こんな嬢ちゃんが、か…? なんかの間違いじゃねぇのかよ」
「私、」
「胸のバッジと腕章が見えてるなら、そんな台詞は言えないはずだけどな」
「おいおい、何喧嘩腰になってんだよ。軽いジョークだろうが」
「喧嘩売ってるのはそっちだろう。誇りを持って自分の仕事をしている彼女に対して部外者という呼び名は失礼だと思わないか?」
「ピ、ピアーズさん…いいですから…」
「……」
「ごめんなさい、私、BSAA欧州本部技術研究局研究員の『C』と申します。この度北米支部の技術研究室に配属されました。どうぞよろしくお願いします」
「ああ、…すまなかったな、これからよろしく頼む」
「はい!」
「…フィオさん、行きましょう」
「あ、はい」
「すみません。こういう男所帯であなたみたいな女性はその、珍しいものですから、話しかけてくる輩は多いと思いますが、皆悪いヤツじゃありません」
「分かってますよ。みんな“家族”ですもんね。仲良しです。ピアーズさんに気を遣わせてしまって申し訳ないです…せめて、もうちょっと背が高くてパリッとした顔付きで、いかにもデキる女!みたいなのだったらよかったんですが…」
「フィオさんは今のままでも十分素敵ですよ」
「あ、あはは… ありがとうございます…」
「…フィオさんはいつも中庭で食事を?」
「え、ええ。ジルさんが居ればジルさんと何処かへ行きますが、ジルさんが任務で居ない時は決まって中庭で取りますね」
「さっき食べてたみたいですが、昼食はその小さい箱だけで済ますつもりですか? 9mm弾のケースみたいなそれだけで…」
「これは日本の文化『ベントー』ですよ。あらかじめ家でご飯を作ってこれに入れて持ち運び、仕事場などに持ち込んで昼食としていただく! 今日はパンしか入ってないんで雰囲気あまりないですが…」
「へえ、『ベントー』ですか…」
「おまたせ、フィオ、ピアーズ」
「あ、おかえりなさい」
「これはお前の分だ、ピアーズ」
「ありがとうございます」
「うわ…みんなすごい量…」
「フィオもこれくらい食べないと小さいままよ」
「う…どうせ成長期はとっくにすぎてますもん、ずっとチビのままですよ…」
「背もそうだけど、胸も無いじゃない」
「ブッ」
「クリス…汚いわね、何やってるのよ」
「ジル…」
「いいんですっ。胸が小さくても好きでいてくれる方とお付き合いしますから!世間では貧乳の方が好きって言う人も少なくないって、誰かが…言ってましたし…」
「ふぅん… ピアーズはどう思う?」
「お、俺に振りますか? まあ、いいんじゃないですか。要は中身ですよ。フィオさんは優しくて素敵な女性だと、俺は思いますよ」
「…ピアーズさん!!」
「フィオ、あなた今話題を反らされたの気付いた?」
「えへへ…いただきますっ!」
「…まあ、いいわ」


― ― ―
無意識の内に名前を教えまいとする彼の心理と、勝手にときめく心をなんとか諌める彼女の乙女心
クリス隊長は彼らの倍の量をひたすら食べまくってます。

121227
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