フラッシュさんが足りないのならどうすれば?


「…痛い。何をする」
「なぁフィオ、オレはおかしくなっちまったんだろうか」
「今まで私に攻撃してきたことなんてなかったな… それと直結するのかは分からないが、お前自身でおかしくなったという自覚はあるのか」
「フィオってマジな話する時口調変わるよな。…な?」
「マジになってるからな」
「今のオレの状態ってアンタがマジになる程ヤバイって事か?」
「お前のバスターを胸に突き付けられてこの至近距離でガン飛ばされて、少なくとも私にとってはヤバイ状態だ。銃口が肉にめり込んで痛いぞ。かなり」
「…ダメだって、イケナイコトだって理解は出来てるんだ。なのにオレは今、フィオに引き金を引きたくて仕方がない衝動に駆られてる。そんなことをすればお前はすぐ、動かなくなることだって分かってる。血を流して、冷たくなっていくことも。オレにとっては珍しい、そのマジな口調の片っ苦しい言葉も、お前はもう、言わなくなる」
「私が憎いか」
「憎い…? ああそうか、これは"憎い"って感情か? それならこうして、引き金を引かないままでお前とずっと、一緒にいたいって思うのも、これも"憎い"って感情からなのか…?」
「…さすが、と言うべきか。Dr.ワイリーの最高傑作、フラッシュマン。お前が愛憎までも理解するだけに成長するとは…」
「…フィオ、オレはお前を、壊したい」
「そう思うのなら、そうすればいい」
「ふざけてんのか!? フィオ、オレはマジで言ってんだ!!」
「だがお前はそれが出来ない。お前には私を壊すことは出来ない。…何故だか分かるか?」
「…本気だぞ」
「っふふ。ああ、分かってる。」
「フィオッ!!」
「お前がそう思っているようにな、私にだって感情はある。お前に壊される前にお前を壊してやることだって出来る。なあ、そうだろう? ただ黙っているだけの人間ではないからな」
「そりゃあ、そうかもしれねェが」
「…ふっ、くくく。っははは!! っはは、負けたよ。私の負けだ!」
「は?」
「足りなかったんだろう? やるよ」
「は? なに」
「やるよ。私の愛。ほら、いらないのか?」
「…いる」
「フラッシュ、満たしてやるよ。飽きるほどに、お前を壊してしまう程にな」
「そりゃ、気ィつけねーと…な」
「火を付けたのはお前だから、後始末まできちんとしろ。お前の部屋も相当酷い散らかり様だからな」
「ハッ! フィオに言われたかねーよっ!」

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恋するヒューマノイド(HAGE)
フラッシュさんは俺様で独占欲が強くてなんでもかんでも欲しくなって、でも自分が戦闘用として決して強くないことに卑屈になっておかしな行動に走っちゃってもおいしいと思います。
悩む姿に感化されて気が変わるフィオさん。ロボットが思う"愛憎"の行方と、フラッシュ(と)の可能性と、…好奇心その他が勝って死にかけのフラッシュに手を差し伸べるのでした。気が変わらなければフラッシュのこの行動をエラーと認定して強制スリープかけて最悪フラッシュは物理的にぶっこわされてたのですが…よかったねフラッシュ。

140301
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