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「ま、待って先生…!いくらなんでも犯罪!!」
「今日卒業したんだからもうお前は俺の生徒じゃね…なら、これは犯罪にはならん…あとその先生もやめろ」
「え…じゃあ、兵長?」
「…ッチ。犯す。」

今日私は高校を卒業した。卒業証書を無事に受け取り担任であるハンジ先生からおめでとうと言われ帰りにぺトラと高校生活最後の制服デートを楽しんだ。
夜になり帰れば両親二人から祝福されいつもより少し豪華な夕食を食べた後。携帯に突然着信が鳴った。

あの日から私と先生は付き合っている。私としては教師と生徒という禁断の関係にドギマギしながらハラハラドキドキしながらあと半年我慢すればいい、と思って周囲にも世間にも黙っているつもりだったのだがどうやらリヴァイ先生はそうではなかったらしい。
まずハンジ先生に報告し、よりにもよってうちの両親にも報告してきた。
両親も最初のうちは驚いていたが、私が幼い頃両親に話し続けていた夢の中の男性と知ると否や諸手をあげて大喜びした。職業も教師として申し分なし、将来性的にも金銭的にもなにも問題なかった為二つ返事で将来の約束、つまり娘の結婚を同意したのには開いた口が塞がらず顎がはずれるかと思った。結婚などまだ先の先で娘自身も了承してはいないぞ、両親よ。
父は一緒にうまい酒が飲めるリヴァイ先生を気に入り、母はイケメンな息子ができると喜んでいた。そしてなにより、もうあの日から私は夢を見なくなった。
夢を見なくなった私の顔色は日に日によくなり、目の下に常にあった隈も綺麗に消えた。やせ細っていた腕も標準ほどまで肉がつき心なしか髪に艶も出てきたと、友人であるぺトラに言われた。
何もかも私の人生はリヴァイ先生に変えてもらった。全部リヴァイ先生のおかげなのだと、素直に感謝した。
まぁそんなこんなで私と先生の関係はある一部の人には知られ、そして先生自身も顔が広く信頼の篤いため、特に問題もなく良好な付き合いをしていた訳であるが。

さすがに高校を卒業するまでは同意の上であっても先生が犯罪者になってしまうため手は出さなかった。前世であったならばなんの問題もなかったため、その点においては先生が激しく舌打ちをして毎度苛立っていた。
しかしそれも今日までの話。

「最初からこのためだけに呼び出したんだ!!」
「ちゃんと卒業祝ってやっただろうが…」
「短い!祝ってくれた時間短いと思う…っ、ちょ…あの、」

先生からの電話と聞いて両親は喜んだ。電話に出てみるとこれから会えないか、という内容。しかしお風呂も入ってしまい後は寝るだけの状態だった私はその誘いを断ろうとしたのだが、母が無理やり携帯を奪って勝手に了承した。
そんな母に父も何も言わず、迎えに来たリヴァイ先生に一言二言話しかけ快く送り出してくれた。

「言っておくが、お前の親父さんは了承済みだぞ。」
「あの会話そういう事だったのか!」
「ああ…ついでに孫の催促もされたな。」
「娘の貞操守らない両親!」

リヴァイ先生の部屋に連れ込まれるなり引きずられるように目的の場所で押し倒される。
確かに半年待たせたのは可哀想とは思うが、しかしこれではそれだけが目当てにも見える。リヴァイ先生の人間性に沽券に関わると思うのだが、当の本人は全く気にしていない様子。



「なまえ、お前は知らないだろうが…」

そう言ってゆっくりとシャツのしたに手を這わせる。背中のあたりがぞわぞわして身震いする。もういい加減にしてくれと、怒ってやろうと決めて顔をあげると覆いかぶさるリヴァイ先生と目があった。
文句を言おうとして開いた口から言葉が発せられることはなかった。

「リヴァイせんせ…?」
「なまえが死んだ時、お前の腹には子供がいた。」
「…え…?」

ゆっくりと先生の手が下に向かって、子宮あたりにたどり着くと数回そこを撫でる。

「だから、早く孕めよ。」
「……もうちょっと雰囲気とか、そういうの考えてください。」
「仕方ねぇだろ。失ったものは全て取り戻すって決めたんだからな。」

ゆっくりと体重をかけられる。心地よいその重さにふいに幸せを噛みしめる。
こつん、と二人の額を合わせゆっくりと目を開けると先ほどほんのりと悲しみを滲ませていた目は優しい色を帯びていた。
つい母性本能がくすぐられてリヴァイ先生の後頭部を昔お母さんがしてくれたように優しい手つきで撫でる。更々細い髪が指の間をくすぐって、刈り上げた部分を撫でるとなんともよく気持ちがいい。

「結婚するか。」
「え、早すぎません?」
「大学卒業するまで待てるか。今まで何年待ったと思ってやがる。」
「半年だけじゃないですか…」
「その半年間生殺しな上になまえとの日常限定だが前世の夢毎晩見させられてよぉ…夢の中のなまえは気持ちよさそうにヨガってたぞ?」
「っ!!そ、れは…えっと、」
「なまえも見てたんだろう?お前が物心つく前から何度も何度も、その行為の意味がわかる前から何度も。」
「そ、うだけど……っ、いじわる!」

顔から火が出そうだった。火照っていく頬に手をふれるとじわりと伝わる熱。
その様子を見て至近距離でリヴァイ先生が小さく笑った。

「ほら、力を抜け…夢の続き見させてやるから。」

それを拒否する間もなく口をふさがれる。
諦めるように大人しく目を閉じると、無骨な手が私の頬を優しく撫でる。
激しい攻めの中でも私に触れる手だけはいつも優しい。それだけが唯一の救いかもしれない、と強制的に見せられた夢の続きの中でぼんやり考えた。


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