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リヴァイと前世に関係しているらしき少女、なまえ。
しかしハンジが今まで見てきた夢になまえはいなかった。同じ調査兵団だったのかもわからず、結局彼女に直接確かめるしかなかった。だからと言っていきなり「君は前世の夢を見ていましたか?」などと聞いたとして変人扱いされるのが関の山だ。
リヴァイも同様だった。
なまえという名前を聞いても顔を見てもなにも思い出せなかった。夢を見る事もなかった。
もしかしたら彼女が見ている夢というのは本当に何かの映画の影響を受けただけの悪夢で、夢を見続けるのは彼女の体質的な物なのかもしれない、という可能性が出てきた。

「なまえがいた。」

四時間目の中ごろ、そろそろ昼になろうかという時間に職員室に戻ってきたリヴァイが憔悴しきったように呟いた。
首をかしげ、そういえば朝のHRの時の彼女の顔色はいつもより一段と悪かったなという事を思い出した。

「リヴァイ?どうしたの?」
「間違いない、あいつはなまえだ。」
「いや、だからあの子がどうしたっていうのさ。」

ちゃんと説明してくれ、と促すとリヴァイの目は遠くを見つめだした。
夢の中のそのずっと奥、かつての記憶を掘り起こしながらなまえという少女を思い出すように目を閉じた。

「なまえは俺の女だった。俺たちの生徒として存在しているなまえは、以前俺の女だったなまえに間違いない。」
「ってことは、やっぱり彼女も夢を見ているってこと?」
「ああ…しかもどうやら俺の事も俺との関係も全て知っていたらしい。…ッチ。」

忌々しげに舌打ちを一つすると毎日綺麗に整えているはずの髪をぐしゃりと一度掻き毟った。
にじみ出る不機嫌オーラに若干距離を取りつつ、それでもなおリヴァイに説明を求める。離れた席で教育実習中のモブリットがビクビクとこちらの様子をうかがっている。

「あいつ…今更前世は関係ないとか言いやがった。思い出さなくてもいいと言って、しまいには今の世界で幸せになってね、なんて言って俺を拒みやがった。クソッ…今の今まで思い出せなかった自分にも腹立たしいってのに、俺と一緒になるのがそんなに嫌だっていうのか…」



そしてその日の夜、夢を見た。
生まれ変わったら何をしたいか、と無邪気に聞いてきたなまえ。
そして約束を思い出した。知りたいことを研究して解明して、そのすべての成果を君に教えてあげる。



「なまえちゃん。」

私たちはもう巨人に苦しめられなくてもいいんだ。

「ちょっといいかな?」

もう悪夢は見なくてもいいから。


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bkm
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