05
とりあえず今はお昼の時間だからお昼ご飯食べに戻ろう。九番隊が一番近いから白ちんとごはん食べようかな、八番隊で京楽さんに貢いでもらってもいいけど、今日は白ちんに会おう。白ちんも尸魂界に行っちゃったから、もうずっと会ってない。こっちの白ちんにとっては昨日もあっているかもしれないけれど。
屋根の上を軽快に走っていく。後ろから吹いてくる風が気持ちい。

「あれ、あそこにいるの…」

みんな一様に昼時なため仲のいい隊士と昼食に出かけたり、リア充どもは手作り弁当なんぞ持ってきていたり、昼休みを満喫している。
九番隊士も目につくようになり六車特攻隊とかいう奴らもちょいちょいいたりする。拳西の男気に惚れたとかそんな理由からみんないい筋肉している。それを死覇装で隠してるのもったいない、筋肉質な男はみんな拳西みたいに袖無し死覇装着ればいいのにね。ただし拳西てめーはダメだ。冬でもあの恰好なのは正直引いた。白がおもしろがって雪玉分投げてたのはおもしろかった。そのあとラブ隊長がマフラーあげたりしてた、ラブちゃん優しいさすがラブちゃん。
その中に見知った顔であり、あまり好ましくない顔を発見した。

盲目の死神。東仙要。

あいつは嫌いだ。私のラブちゃんに切りかかったし、あいつの言う正義って好きじゃない。
自分の存在自体が正義ってどういうことなの。神様にでもなったつもりなの、おこがましい奴。あいつには信頼に値する友も慕ってくれる部下もいたし、今だって目をかけてくれる上司もいるのに、よりにもよってなんであんな変態眼鏡糞野郎に就いちゃったのかがわからない。

「おーっす眼鏡さん」
「…君は、たしか久南副隊長の友人の」
「そうそう、白ちんの友達。なに一人でお昼なの?さみしいねー友達いないの?」
「いや、今日は一人になりたい気分でね…同僚が先遣隊として行ってしまったから」
「ああ、流魂街の事件の先遣隊九番隊からだっけー大変だねーオツカレサマデス」
「ハハ…僕は何もしてないよ。無事を祈るくらいしかできないからね」

白々しい奴…盲目なのに死神になって席官にもなって、なのに本当に見えてなきゃいけない事はなんにも見えてない。
たとえ目の前で友人が殺されても、それは正義のために犠牲になったのだって言って平気で切り捨てられる。こいつの正義っていうのはそういうものだ。
「前から思ってた。キミの言う正義と拳西と白ちんの言う正義って違うよね」
「…どう違うんだい」
「真逆だよ真逆。誰かを守るために死ねたのならそれが本望って二人は自信満々に言うけれど、君に守りたいって人間いる?その友人が目の前で切り殺されていたら守りたいって思う?キミからはなんかそういうの。感じないんだよねぇ…」
「……それは僕が、顔の半分以上マスクで隠しているからじゃないかい?」
「そっかーじゃぁそういう事にしてあげる」

どっこいしょっと立ちあがって東仙要に背を向ける。
彼がどんな顔をしているのか、どんなに心を乱しているのか、私には何も感じ取ることはできない。
こいつは最初から死んでいたのだ。心も何もない。ただ盲目の暗闇の中に照らされたほの暗い明かりを頼りに絶望しながら生きていた、心はすでに虚の死神だ。だからもう助けてやれないのだと、本能で悟った。
藍染は悪だ。あいつだけは何があっても許すことはできない、今すぐ私の手で殺してやりたい。けれど二人は別だ。二人が私たちにしたことは許せないけれど、二人ともただ自分の心のままに生きていたのに、それをあの変態男に騙されて利用されていただけだ。助けてやれるのなら助けてやりたい。無罪放免は無理だけれど、死ぬ事はなかったはずだ。

けれど、君は無理だ。
私に失った穴をふさぐ方法は知らないんだ。

「拳西は君のことすごいって言ってた。大事なものちゃんと見えてるすごい奴だって」
「それは光栄な事だね」
「うん、だから、裏切るような事しないでね」



このお願いが聞き入れられることはないのだろうけど。


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bkm
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