03
さてさて、息巻いて真子の元を去ったわけですがこれからどうしようか。
まずは根回しだ、根回し。私一応平隊士だからあの糞眼鏡男も私の事なんて眼中にないだろうから色々行動はしやすいはず。
ラブ隊長のおかげで真子たちとは言わずもがな超仲良しだし、その伝で浦原さんとか夜一さんとかも面識あるし、京楽さんと浮竹さんは茶飲み友達だし。大丈夫だ、手札は揃っているしカードは皆最強だ。私だけ最弱だけどね、悲しくないよ、だって私は平隊士だもん。
でもでも、過去と違うのが一つだけある。
私はもう足手まといじゃない。虚化もできる、始解もできる、卍解だって長い長い100年の間に習得した。真子やラブ隊長のおかげだったけれど。それでもあの頃の私より、今の私のほうが断然強い。
大丈夫!自身を持て!私にはできる!経験と知識と技量はあの頃より100年分だ。

「ラブ隊長〜」
「お前どこいってたんだ仕事残ってんぞー」
「ちょっとハゲ真子の部屋に行ってたの〜」
「それはいいけど仕事さぼってまで会いにいくなよ。他の隊士に迷惑かけんな?」
「はい、ごめんなさい」

ラブの前ではいい子でいる。だってラブは私の恩人で私のお父さんだもん。流魂街で行き倒れてた私を拾って死神にしてくれたのはラブだった。
あの頃の私はなんにも恩返しできなくてそのまま皆で策略はまって尸魂界追放されちゃって、結局私は足手まといでしかなかったけれど、そんな私を叱ってくれたのはラブだった。
皆に心配かけるなって、叱ってくれた。慰めてくれたのは真子だけど、でもでもラブの方が大事。私はまだまだお父さんっ子だ、一緒に下着選択できるし一緒にお風呂だって入れるぞ。断られるけど!

誰かに迷惑かけちゃだめだけど、でも迷惑さえかけなければ私の自由にさせてくれる。
流魂街育ちで教養も全然なかった私にそういうの教えてくれたのもラブ。私の全部。一番大事なわたしの家族。

「ねぇねぇラブ隊長」
「なんだ?」
「ラブ隊長今楽しい?」
「なんだよ急に」
「いやぁ…うーんっと、この世界にはいろんなものがいっぱいあって、それを知らないまま自分が今の幸せを享受することが幸せなのか、自分の知らない世界にいって知らない事を知る事が幸せなのか、そんなの人それぞれだし価値観の違いだから。もし、隊長が知らない事が不幸せだって思うなら私が今からやろうとすることは嫌じゃないかなぁって思って…うう〜うまく説明できないよお、意味わかる?」

ラブは現世に言ってからずっと漫画を読んでた。それでジャンプっていう雑誌にド嵌りして現世か尸魂界かっていう大事な選択の時もジャンプのない世界に用はないって言って、一応私とひよ里の保護者の名目だったけど本音はジャンプのために現世に残ったからだ。私はラブがいるならどっちでもいいんだけど。
尸魂界にはジャンプはないし漫画だってもちろんない。かろうじて小説とか文集とかあるくらい、あとは九番隊が発行してる瀞霊廷通信くらい。
そんな漫画のある世界を知らないラブは、今を幸せと言えるのだろうか。もしラブが嫌っていうなら、私は私の幸せを諦めるけれど。

「知らない世界を知らないままでいる事が不幸せなんて思わねェよ。今が幸せなら、それがそいつにとって最上なんじゃねぇの?」
「私、いまが好き。だから壊したくないの。ラブ隊長は今の世界でもいいって思う?」
「手のかかる娘がいて、信頼できる仲間がいる今の状況が俺にとっての最上だぞ?」
「そっか…そっかぁ、よかったぁ…」

ラブがいいっていうなら、私は全力で頑張ろうと思う。
私が私の幸せのために、ラブの大事な仲間を守るために。ラブ隊長の大事なものは私の大事なものでもあるけれど。

「じゃあ、頑張らなくちゃ」
「おう。じゃあコレ残務整理手伝えよ」
「わぁあそれは午後からやるから、ちょっと出かけてくるー!」
「あ、コラ!なまえ!!」

押し付けられた書類の山を華麗に交わして七番隊舎を飛び出る。
目指すは十二番隊。わたしの何でも屋の十二番隊。

あれ、でもよく考えたら私じゃなくて頑張るのって浦原さんなんじゃね?
私特に頑張ることなくね?作戦考えればいいだけ?
いやでもガンバルって決めた。何をどう頑張ればいいかわかんないけど、奴の攻略法は全部知ってし物語の結末だって知ってるからなんとかなるだろ!


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