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特に事件も起きずに平和な日々が続く瀞霊廷。
五番隊も特に何も起きず、しいて言うならチビギンの糞餓鬼に私のおまんじゅうが食べられたくらいだけど、私にとっては大事件だけれど、まぁそれなりに平和な日々が続いている。
平和ってずっと続くと正直飽きるもので、刺激の足りない毎日に飽き飽きしていたりするのだけど。
そんな私に真子がとある仕事を与えたのは半年くらい前だった気がする。

「えーめんどくせー」
「お前はなんでもめんどい言うやろ」
「うーえーでもー」
「この仕事受けるなら書類整理の枚数減らしたってもええけど」
「まじ!!んじゃやる!!!」
「おっしゃほな決まりやな」

内容的には長期だし過酷だし危険も伴うのだけど、平和に飽きている私にとってはぴったりの仕事だった。
私の仕事に相棒としてチビギンも巻き込んで任務にあたったのが半年前。
毎日毎日危険に晒されつつも生き残るための死闘を繰り広げていたのが昨日までの話。

そう、昨日までの話。



「で?どやった?」
「もーばっちり、さすが私」
「調子のんなボケ」
「うっさい真子のハゲ!!与えられた仕事完璧にやり遂げた私にかける言葉とかないの!?」
「あーごくろうさんごくろうさん、ようやったでなまえ」
「むふふーご褒美は香里庵の豆大福で手を打とう」
「あーまぁええか…今回だけやで」
「やったー!!」

ぐりぐりと乱雑に頭を撫でてきたのだが心は既に豆大福に向いているため特に何も思わずにその行為を受け入れる。
そんな暢気な会話をしつつ五番隊舎に二人で向かう。
隊舎につくといろんな隊士に挨拶されてそれを適当に返しつつ隊首室へと足を向ける。
その途中に机にへたり込む銀髪を見つけた。五番隊で銀髪なんてそりゃ一人しかいないわけで、未だに身長も伸び続けてさらに大きくなった身体を小さく丸めてうつぶせに寝ている。

「ギーンちゃーん?朝ですよー」
「あと五時間…」
「なにが五時間やねん、起きぃ」
「今日も張り切ってお仕事がんばろーぜいチビギンちゃん」

「無理やん!!てかなまえちゃんおかしいやろ!!なんであんなきっつい仕事の後やのにそないにヘラヘラしとんの!?」

「鍛え方ちゃうねん鍛え方がー」
「おかしい…ぜったい変や」
「ギンーお前こいつよりでっかいくせにちっさい男やのう」
「真子の方が小さいけどね!あでっ」
「やかましいボケ!!」

そんな感じで毎朝恒例のコントも終わり、周りを見渡すと五番隊のほかの隊士も微笑ましく見守っている。副隊長が殴られたんだから誰かひとりくらい心配してくれてもいいと思うんだけど。
よく見ると糸目の下にうっすら隈ができてるし頬も若干こけてる気がしなくもない。確かに結構ハードだったから慣れない人間にとっちゃ疲れもたまるか。

「安心しろギン!このあとで真子のハゲが香里庵の豆大福おごってくれるから!!」
「ほんまに隊長さん!」
「なんでやねん!なまえだけとちゃうんか!!!」
「えー隊長さんずるいわーボクかて頑張ったやんボクにもご褒美ちょうだいやー」
「そーだそーだ!エコヒイキいくない!」
「ハァ…もーしゃぁないなぁ…ほんなら後で奢ったるからちゃんと仕事しとれや」
「おおきに隊長さん」
「隊首会いってらっしゃーい」

そして私とギンの目の前にどっさりと書類を積んで隊長羽織を翻してさっそうと定例隊首会へと行ってしまった。
二、三枚手に取って久しぶりに自分の執務机の目の前に座る。
未だに机の上で伸びてるギン。結構重症かもしれない。大福が待ってるから頑張ろうと声をかけるとゆっくりと頭をあげると手を伸ばしてきたからその手の上に書類を乗せてやると素直に受け取った。いつになく素直なギンが少し可愛いかもしれないと思いつつ、任務の日々を思い出す。

「ほんま疲れた…」
「疲れた時には甘いモノだよ、頑張ろう頑張ろう」
「んーでもなんで急にこないきっつい事やらせたんやろ…もしかしてボク嫌われてるん?」
「ちがうよちがうよーギンのためを思っての事だよ



私達が虚化の訓練をしたあの場所。こっそり浦原さんが作ってくれた秘密の空間で二人っきりでギンとずっとずっと来る日も来る日も戦った半年間。

「まぁよかったじゃん、ギンも卍解できるようになったんだからさー」
「まぁ…でも三席なんやから卍解とか別にいらんくない?」
「あって困るもんじゃないっしょ」
「せやけどー」

疲れたーと大きなため息とともにまた机に突っ伏したギン。
思い出すのは半年前に真子に言われた一言。





「あいつに、卍解習得させぇ」

考えてる事は大体わかる。
だから断言できる。

真子はギンの事大事に思ってるって事が。


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bkm
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