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そして数十年があっという間に過ぎた。



相変わらず私達は飽きずに皆ずっと隊長副隊長をしたりする。
特に昇進の話とかも来なくてもう百年近く隊長副隊長変わらないってどうなんだろう。卯の花さんや京楽さんや浮竹さんや総隊長も古参隊長だったけど、私たちも結構古参扱いされてきた。
おばあちゃんっていうのは別だけどね、まだまだ若いよ現役だよ。

相変わらず真子が隊長で私が副隊長で市丸少年が三席だ。
真子は相変わらず、ちょっとだけ髪長くなったかもしれない。そりゃまぁ魔がさしてひよ里と共謀してバッサリ切ってやった事もあるけど何がどうなってんのかコイツの髪はすぐ伸びる。悪戯のし甲斐がないね。しかしその後はひどかった。思い出したくもないくらい、本当にひどかった。久しぶりに真子の事怒らせたけど、やっぱりガチキレは怖い。まだラブ隊長のが優しい。拳骨でできたたんこぶが一か月引かなくて四番隊にずっとお世話になったのは嫌な思い出である。
私は相変わらず。背は伸びないし精神年齢も対して育ってない。ちょっとだけおっぱいがおっきくなった。みんなに合法ロリって言われ続けて早百年ちょいである。
問題はギンだ。こいつだけぐんぐん背が伸びやがった。この前ついに健康診断で真子の背を抜かした事が判明して真子がかなりショックを受けていたのをひよ里と大爆笑した記憶がある。でもそれ以外は相変わらずで、ちょっと仕事のサボり癖が出てきたくらいかな。明らかに真子の悪影響だと思う、だって市丸氏の育て親は真子だもんね。
私はとっくの昔に背は抜かされたけど、いまだに呼び方は「チビギン」だ。そうやって呼ぶとすごい嫌がられるけど私にとってギンはずっと小さいまんまなんだから仕方ない。

「チビギンちゃーん…あっ、やっぱりここにいたー」
「せやからボク副隊長さんよりおっきいやん」
「親にとって子供はいつまでも子供なんですよーだ」
「なまえちゃんがお母さんならお父さん隊長さん?なんか嫌やわそれー」
「私も嫌だわー真子が旦那とか…ラブ隊長のがいい」
「相変わらず七番隊長さん贔屓なんやねー」
「もち!」
「…隊長さんも不憫やねぇ、百年越しとか長いわぁ…一途通り越してある種の執着やね」
「私のラブ隊長への愛は永遠だもんね!!えっへん!!ドヤ!!」
「…そういう意味ちゃうんやけどなぁ」

朝ちょこっとだけ仕事やってそのままどこかに消えた自分の部下を探しに行くふりをして私もサボるという、まぁ毎日の光景なんだけど。そんな感じで今日も今日とてギンを探す。まぁ大体わかるけど、日当たりがよくて木陰がちょっとあって風通しがよくて昼寝に最適な、そういう場所を重点的に。大体のあたりをつけて探すと簡単に見つかった。
ちなみに私は今でも相変わらず霊圧探知はへたくそなので大体いつも感で探している。霊圧探知がへたくそな私のためにわざと見つけやすい所にいてくれるっていうのもあると思うけど。そういう紳士的な所は真子に似て育ってくれてよかったね、決して私がバカにされているという訳ではないよね。信じてるぞギンちゃん。

「そろそろおやつーあと真子がイライラしてるから戻ろー?」
「あれ、今日怒るの早いんやね」
「真子もお昼寝したいんだよーおじいちゃんだから」
「あーなるほどー」

「だぁれがおじいちゃんやボケ!!」

「ふおお真子おじいちゃん!ダメだよ起こると血圧高くなるよ!!」
「誰のせいや誰の!!」
「…チビギン?」
「アホの副隊長とアホの三席のせいや!俺の休憩時間全然ないやろが!!」
「まぁまぁ隊長さん、とりあえずおやつにでもして皆で休憩しよやー」
「元はと言えばお前のせいやろ!!ギン!!!」
「えーボクちゃんと仕事したよー三枚くらい」
「私もしたよー五枚くらい」
「おーまーえーらーなぁー!!」

ちなみに今現在の書類整理は各自の机に未だ大量につまれている。
いわゆる決算時期なので今年使っちゃった修繕費とかその他諸々を一年分溜まりにたまった奴を全部計算するという一年で一番めんどくさい仕事である。それを三人で分担してやっている訳だが、どうにもやる気がでなくてこんな感じで暇ではないけど暇を見つけてサボるという事を数週間前から繰り返している訳である。
ついでに言うと修繕費用とかお金関係は毎月ちゃんと計算して書類にまとめていればこんなに時間はかからないものだけど、うちはトップ3がユルユルのめんどくさがりばっかりなので毎年こんな風に泣きを見ている訳である。夏休みの宿題が31日になっても終わってない小学生と同じである、100年以上生きてるくせにね。

そんな訳で今の真子は拳西よりもキレっぽくなっていて大変危険である。
ついでに言うと九番隊も似たような感じらしいけど、あそこは白ちんだけアレなだけで他の隊員は皆勤勉だからそうでもないらしい。
隊の気風って隊長によって変わるっていうから、うちがこんなユルユルなのは真子のせいってことだよね。私悪くないよね。うん。

「そんな怒んないでよー今日のお菓子は奮発したからさー」
「ギン探しに時間かかってると思たら…それ買いにいっとったんか」
「うん。こんなんでもちゃんと真子の事考えてるよー?ほら、私真子の優秀な副官だからさ!最近お疲れの隊長に甘いものをと思って!!」
「ほう…えらい気ぃきくやないか。優秀なんはちゃうけどな」
「ぶー」
「ほんなら午前中のサボりは大目に見たるからさっさと茶ぁにすんで。ギンお前が煎れろ」
「えーなんでボクなん」
「なまえは菓子買ってきたから茶くらい煎れろやボケ」
「ほらギンぼさぼさしないのー早くー」
「あーちょおまってや」

毎日毎日、もう何十年もこんな状態の五番隊。つまりは超平和である。
こんな毎日が続いてもう何十年たっただろう。私は何度幸せを実感しただろう。

自分で買った奮発したお菓子と、ギンが煎れてくれた渋いお茶に舌鼓を打ちつつ今日もその幸せを享受するのであった。

「今日二人残業や」
「えー」
「おにー」
「うっさいボケ。それ飲んだらさっさと仕事しぃや」
「はーい、ギン頑張ろうね」
「パワハラに負けたらあかんで」
「誰がパワハラやねん。誰が」

瀞霊廷は今日も平和です!


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