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「そんな訳で、あいつを絶対に一人にしないで欲しいんだ、頼めるかな?」
「はい」
「よし!じゃあさっそく準備してねーといっても持つものは斬魄刀だけでいいけど、斬魄刀ある?」
「はい、ここに」
「じゃーいこっか!多分もう待ってるから」

そして後ろに新入りの女の子を引き連れて部屋を出る。
副隊長ってことでちょっと緊張してるみたいだけど、私なんかに緊張しても無意味だと思うんだけどね。地位ばっかりが前に出ちゃって本当の私は大したことないのにね、そんなに緊張しなくてもいいのにって声をかけると小さく笑った。
やっぱり女の子はいいなぁ、しかも新入りの子だから初々しくて可愛い。
私の周りの女の子ってひよ里とかリサちゃんとか白ちんとか、みんな強い。男の人より強いし自立してる。みんな好きだけどね。
あとは女の子よりも髪が綺麗な真子とか、髪しか取り柄のない真子とか、髪とか気にしちゃう女々しい真子とか。もう周り男ばっかりだ。やっぱり新入りの女の子が欲しいなー市丸少年も将来ありえないほどでっかく成長しちゃうし、今のまま成長止まればいいのに。もういっそ浦原隊長に頼み込んでチビギンのままにしてもらうことできないかな。
断じてロリコンでもショタコンでもないよ!!ちょっとかわいいモノに飢えてるだけだよ!!

「おおーいハゲ隊長ー」
「やっときた…遅いわボケ」
「別についてこなくていいのにー仕事たまってるんでしょー?」
「なまえ一人に任せとくと何しでかすかわからんから見張りや、ボケ」
「なんだとハゲコラ」

会ったなり喧嘩ふっかけてくる真子のハゲ野郎め。
髪を思いっきりひっぱってそこから禿げていきますようにって怨念を込めながら手近の髪を一房思いっきりひっぱる。
市丸少年はもはやいつもの光景だから止めないけど、私の後ろで女の子がすっごいおろおろしてる。
くそ、今日はこの可愛い子に免じてこれくらいにしておいてやろうじゃないか。

「じゃ、市丸少年、この子と一緒にお願いね」

女の子の手を引っ張って市丸少年の前に引っ張りだす。ついでに邪魔な真子も押しのける。
感動の再開と洒落込んじゃってください。





「乱菊…」
「ギン…」

いやぁ、私いますっごい達成感。すっごい満足感。
隣で真子がアホっぽい顔してるけどそんなのにイラつかないくらい満足感すごい。

「じゃあ乱菊ちゃん、うちの三席頼むねーほっとくとすぐどっか行くし自分勝手だし言う事全然きかないし自己犠牲激しいから、ちゃんと見張っててあげてね」
「…ボク隊長さんの言う事あんま聞いてへんけど、副隊長さんの言う事は聞いてるやん」
「現世任務に恰好つけて私達の前から消えようとしてた奴の言う事なんか信じられんわ、アホチビギン」
「ひどい言いようやなぁ…」
「乱菊ちゃん、この際チビギンに色々文句言っていいからね!もう任務中は席次関係ないから」
「…ほんま、なまえ副隊長には頭あがらんわ」
「はいはい。じゃ、がんばってきてねー」

地獄蝶を二匹つれて小さな背中を見送る。
あんなに小さいのに背負ってた想いは二人とも大きくてとても深い。

今度こそ、あの二人があんな風にずっと隣を歩いていければいいと思う。

「なんや、あの二人が知り合いってしっとったんか?」
「まーねー前の時に色々あってさー聞きたい?聞きたい?」
「しゃーないから聞いたるわ。ほんなら戻って休憩にしよか」
「やったー!!」

二人が光の向こうに消えたのを確認して、私達も踵を返して隊舎に戻る。
今日の茶菓子はなんだろうと期待しつつ頭の中でかつての二人を思い出す。

未来が変わってしまった今、私の知っている未来はもう起きない。私の知っている未来は今となってはお伽噺でしかない。
そのお伽噺をお茶請けにして、私のおやつの時間は過ぎていくのであった。





完全に余談であるが、数か月後ちゃんとチビギンと乱菊ちゃんは帰ってきた。
ギンの頬に超でっかい手形がついてたから案の定家族会議で揉めたらしい。でも帰って来たってことはギンの心の整理もついたという事で。

「どうだった?」
「んー乱菊おこらせてしもた」
「なにやらかしたん」
「まぁ、色々…絶対黙っておらんくならんようにするって約束させられたから、多分もう怒ってへんと思うけど」

しょんぼりした顔で手元の湯呑に視線を落とす。
ただ今二人で絶賛プチ休憩中です。

「ちゃんと約束守んないとね」
「…せやね」

困ったような顔してるけど、でも今までで一番幸せそうに笑ってる。
本人はそういうの気づいてないんだろうけど。
任務から帰ってきてから二人はちょくちょく顔を合わせているらしい。自分は三席で給料がっぽりだから乱菊ちゃんに色々奢ってあげてご機嫌取りの毎日なんだって笑った。
流魂街でできなかった事、してやれなかったこと、今度はいっぱいしてあげるんだって眉下げながら笑った。

よかった。あの日の夜に下剤渡した甲斐あったね。
そう冗談交じりで言って笑ったら、ギンも同じように笑ってくれた。
よかった、本当に。


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