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世界よ、聞こえているかい

これが、真実だ















痛い痛い痛い痛い体中が痛い心が軋む足が折れている手足がもげそうだ
痛い痛い痛い痛い

いっそこのまま死んでしまえば、楽になれる…?

『なんだ、もう死ぬのか』

そんな訳ないじゃないか。
だって死んじゃったら皆ともう会えないじゃないか。

春になったら京楽さんのお酒で花見をするってリサちゃんと約束したんだ。
春に新装開店するからって休業した美味しい美味しい白のお気に入りの和菓子屋さんに二人で行くって約束したんだ。
夏になったらひよ里と大量に有給とって現世に旅行に行こうって約束したんだ。
夏になったら花火と屋台に連れて行ってなんでもおごってくれるってラブと約束したんだ。
秋になったらハッチと死ぬほど焼き芋焼いてさんまも焼いて食べようって約束したんだ。
秋になったらローズのお気に入りの楽団の定期公演に連れて行ってくれるって約束したんだ。
冬になったら露出狂の拳西の冬服全部ノースリーブにしてやるって決めてるんだ。
冬になったら真子と一緒に炬燵でゴロゴロするんだって決めてるんだ。

やりたい事いっぱいあるんだ。
まだまだやり残した事がいっぱいあるんだ。

『じゃあ死ぬなんて嘘つくな』

そうだ、死ぬなんて嘘だ。
私は死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
でも痛い痛い痛い、死んじゃうほど痛い。

全部、全部、あいつのせいだ。
変態ハゲ糞眼鏡野郎。眼鏡にあってねーんだよ畜生め。
死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ。あんな奴死んじゃえ。


『そうだよ、あたしたちを傷つけるあんな奴、殺しちゃえ』

ダメダメダメダメ、殺しちゃダメ。
真子を殺しちゃダメ、ひよ里を殺しちゃダメ。みんなみんなあんたが傷つけていい人じゃないんだ。

「下がってて、私が全部やるんだから」
『誰がやるか面倒くさい。あんたが腑抜けてたから喝入れに来ただけですよーだ』
「そっかそっか、それはどうもありがとう虚さん」

立ち上がれ立ち上がれ。なんのためにこんな所までやってきたんだ。

『負けんなよ、糞主人』

ありがとう虚の私。
やっと目が覚めた。






「さようなら」

世界よ、聞こえてる?

「あなた達は素晴らしい」

これが全てだ

「材料だった」



「……っかくほおおおおおぉぉおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉおぉおおおぉぉぉおぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」

虚混じりの私の声が世界に響いた。
捕えろ、世界を虐げる対罪人を。

私の声にこたえるように、黒ずくめの人たちが目の前に溢れかえって、その中の一人が藍染をにらみつけるように呟いた。

「これで仕舞いじゃ、藍染惣右介」

金色の目がゆっくりと細められた。やっぱり夜一さんは頼りになるなぁ。
そんな夜一さんと正反対に藍染の目が大きく大きく見開かれて、ゆっくりと視線を私に向けた。




「私は既に虚化を習得してるの。残念だったねバーカバーカ」

真実を語ってあげよう。
愚かで無様なお前のために。


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bkm
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