23
行為の終わった白いシーツの上で、二人は向かい会っていた。
リヴァイは軽く下半身を隠すだけだが、なまえは羞恥のあまりシーツを全身に巻き付け今から冬眠すると言わんばかりのサナギのような状態であったが。

「今回は痛かったか?」
「……」

その問いを答えるほどの度胸はなく、無言で首を何度か振る。

「気持ちよかったか?」
「……」

その問いに更に顔を赤くさせ、俯きながらも小さく肯定の意を表す。

「そうか…俺もだ、こんなに充実したの始めてかもな…」
「あの…もう、」

やめてくれとそう訴えたいが言葉が出ず、ただ耳をふさいでもう一重シーツを身体に巻きなおす。
シーツに埋まろうとするなまえを制止し、赤くさせた頬に触れ少々強引にこちらを向かせる。
案の定顔から火が出そうなほど紅潮した頬から熱が伝わり、しかしその様は極上に愛らしくずっと見ていたくなると、顔を固定する手を緩める事はしない。

「なまえよ…俺が好きか?」
「…リヴァイ兵長は私の敬愛する上司で、私の憧れですから、好きです。」

その解答は少し期待していたものと違っているが、リヴァイもそれを気にする事はなかった。
二人にとって重要なのは愛や恋ではなく、行為を受け入れるか拒絶するかのどちらかであったからだ。

「だから、ほかの女の人で汚くなっていないなら全然いいんです。」

兵長の手が触れるたび、そこから汚くなっていく感覚を黙って受け入れる。しかしその手が優しく撫でてくれるなら、拒絶の言葉も口にしない。リヴァイ兵長だけは、この先死ぬまで、特別に汚れた手を受け入れよう。
心に誓い、リヴァイの手を取りその爪に口づける。その様をみてリヴァイは目を細めた。まるで男と女の結婚式のようだ、と。
白いシーツに包まれ時折のぞく肌には自分のつけた傷。
紛れもなく目の前の少女は自分のものになったのだと、そう実感し、目を細めた。

「これから何度も俺はお前を抱く。その度にお前を汚す。なまえは、それが耐えられるのか?」
「兵長なら、いいんです。だって私はもう汚いから、兵長が汚したから…なにされても平気です。」

自らの手で汚した。汚し、傷をつけ、跡を刻み込む。
しかしその身体を開いたのは生涯、リヴァイだけしかいない。だから、リヴァイだけならもう今更嫌悪した所で意味もない、だから好きにしてもいい。なまえは優しい口調でそう告げた。

「お前は綺麗だ。」

安い言葉だと思いながらも、その言葉以外に適当な言葉は見当たらない。
頬を撫で慈しみを込め、顔にかかる髪を耳にかけてやる。

「俺が汚した、だから俺にとってお前はずっと綺麗なままだ。」
「…?」
「いいか、よく聞けなまえ。だからこれから死ぬまで俺以外にその身体汚される事はゆるさねぇ。」

汚したから、綺麗なのだ。
誰に侵入も許されたことのないそこは、今までの女の誰よりも綺麗だった。
だからこれからも、その身体を知るのは俺だけでいい。そこから溢れる蜜がほのかに甘いということを知るのも、生涯俺だけでいいのだ。

「いいな、なまえ?」
「はい、わかりました。」
「よし。」

そして手を取り、なまえの爪に口づける。その様を見て、なまえはわずかに目を細める。
爪先だけの口付けで事足りる訳もなく、ゆっくりと手を伸ばす。
期待するように目を閉じるなまえの顔を引き寄せ、そして唇に、生涯お互いだけだという事を各々の胸の中で誓い、口付けを交わす。


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