ふわり、ふわりと、動くたびに香る。
その匂いが鼻につくたび、少しずつ腐り落ちていく感覚に囚われる。
身体の真ん中のお腹の当たりから腐って融けて汚いものがそこから私を壊していく。
ああ、もう、どうでもいいや。そう諦めて、目を閉じる。
涙は勝手に零れ、声はもう悲鳴を上げる事すら困難なほどに掠れてしまった。
「…なまえっ、」
息を詰まらせ、そしてリヴァイはまた汚した。
高揚して高ぶって最早リヴァイ自身にも止められない衝動が、力なく投げ出されたなまえの足を手に取りつい先ほどまで繋がっていたそこを丹念に舐め上げる。
そこからつま先にかけてゆっくりと舌を這わせていると、無理矢理取り払った際に少し痣になってしまったベルトの跡が目についた。自分がつけた噛み後以外がそこにあるのが気にくわず、上書きするようにそこにリヴァイ自身の歯で跡をつけていく。
その度に小さく悲鳴を上げ、されるがままだった足に力が入る。
ふるふると震える小さな足を手に取り、もう一度というように左右に開かせる。
そして再び始まる行為に、なまえは涙を一粒だけこぼした。
何度目か。そんなもの数えるのも疲れてしまった。
なにを忘れていたんだろう。
兵長は、最初から汚かったではないか。
何度目かの口付けの後、小さく息を漏らす。
あの夜、言いたかった不満を。
「おねがいだから…」
お願いだから、
「ほかの、おんなのひとの、においをさせて、わたしにちかづかないで…」
でなければ、私は嫉妬の炎でその身が焼かれてしまう。
汚い、汚い、私の心が腐り落ちてしまうから。
言葉になったのかすらも認識できず、体液にまみれた自身を汚いと深いに感じつつ、意識はゆっくりと暗いくらい所のもっと奥深くまで落ちて行った。
そういえば、お風呂にも入り損ねたな、などと、やけに冷静な思考が闇に落ちる私にそう告げた。