「おかあさん指にタコできてるよ?それってじゅうをにちじょうてきに使ってるから?」

「ゼロのお兄さんってコナンくんが呼んでたけど、もしかしてけいさつちょうのゼロ?」

「ねえねえ、なんで公安のひとたちといたの?」





まずい、非常にまずい。
コナンくんの同級生で名字名前という6歳の少女に最近やたらと懐かれている……かと思いきや、コナンくん並の観察力と知識があるのか、たまたま関わった事件を解決した俺に必ずと言っていいほど絡んでくる。

最初はコナンくんの真似をしているのかとも考えていたが、最近の言動はコナンくんより的確。このままでは掴んではいけない情報を手に入れいつ組織に少女が狙われるか、そうなると芋ずる式にコナンくんも危ない。

いや、逆か?むしろ少女が組織のメンバーだったとしたら?家族ぐるみで組織にいる人も珍しくはない……頭の良さを買われ俺の事を調査しに来た、なんて事も考えておかなくては。

「(くそっどっちだ!)」

少女の報告書は至って普通だ。出生、幼稚園、小学校、両親もただのサラリーマンと専業主婦、普通すぎる。どこかに穴があるかと思っても何も見つからない。それがまた組織の者だと証明されているようで気味が悪い。

ベルモットに6歳のメンバーは居るかと遠回しに聞いてみても、「そんな小さい子は今のところ居ないけど、あなた大丈夫?」と馬鹿にされたのが記憶に新しい。
思考に耽っていた所、背後から声が掛かる。

「……あせりは、さいだいのトラップだよ?」

いつの間にか背後にいた少女、いやそんな事はどうでもいい、少女はいま何といった?焦りは最大のトラップ……だと?なぜその言葉をしっている!それはアイツの、

「松田の口ぐせなのにって?」

「!?君はいったい……!」

「いもうと」

いもうと、妹?いやまさかアイツに妹が居るなんて……いや有り得る。松田の両親は早くに離婚してどちらかの親が再婚をして産んだ子どもなら。報告書にも6歳を産むには年齢の高い夫婦だった事を思い出す。

「やっとあえたね、ぜろくん」
「にーにから伝言だよ。」


「俺の妹がすまん」


松田は妹の頭の良さに気づいていた。生後10ヶ月で平仮名片仮名を暗記し、1歳で小学生の問題を理解していたからだ。警察官になりたいと幼いながらに言っていた妹、警察の仕組みや簡単な事件をまるでままごとのように暗記し推理。きっとキャリア組になれる将来を想定した。そして将来出会うであろう自分の友のこと。
そこで松田はちょっとしたゲームを仕掛けた。
もしこの先自分が居なくなっても、確実に妹を任せられる友へ。


お前に会えたという事はきっとお前に迷惑をかけている可能性があるな、俺が仕掛けた事だあまり怒ってやるな。俺の妹をよろしくな零!


|

back
しおりを挟む