沖矢(赤井side)


「沖矢さん、私を女性にして下さい!」

最近スーパーで良く会う少女。俺に好意的な態度を見れば、なぜよく会うのかは一目瞭然なのだが……そんな少女がまさか夜中に家を訪ねてくるなど誰が推理できたか。

「名字さん、……女性が一人歩きしていい時間では無いですよ?」

「大丈夫です!ここから家近いので!」

遠回しに夜中に来られても迷惑だと言ってみたが、彼女には伝わらなかったようだ。澄んだ瞳が俺を見つめている。しょうがない、沖矢昴はこんな夜中に女を1人で帰らせる事はしないだろうから家まで送らなくては。

「分かりました、では車を出しますのでお送りしますよ」

「!!…ありがとうございます!お邪魔します!」

1度車の鍵を取りに行こうと工藤邸の中に入ると、ずかずかと少女も入ってきた。なるほど、強行突破という事か……これは話を聞くまで帰っては貰えないだろう。
小さくため息をつく、出来れば関わりたくないごく普通の一般人だ。どうやって穏便に対処するか思考を凝らした。

「……」

客間で対面にソファへかけたのは良いものの、少女は先程から落ち着かない様子でチラチラと壁掛け時計を見ている。時間が何か関係しているのか?
夜中の訪問、時計、大人の女性…そして好意を向けている男性の家……なるほどな。

「飲み物を持ってきますね、寛いでいて下さい」

「あっはい!ありがとうございます!」

彼女の性格を考えて、そう深くは考えず喋っていない。大人の女性にして下さい、俺ではなかったら本当に食われていたのではないだろうか。
……いや、あえて襲ってみるのはどうだろうか。もちろん法に触れてしまわないよう本当に手は出さず、少しだけ怖がらせればもう近寄っては来ないだろう。
愛用のバーボンをグラスに注ぎながら、これからの行動を考えた。

「(3…2…1…0!)」

「名字さん、お誕生日おめでとうございます」

飲み物を持っていくと丁度日付けが変わっていた。琥珀色に揺れるグラスを少女に手渡した。

「沖矢さん!お酒ありがとうございます、知っていたんですね!」

誕生日の事か、20歳になる事か、どちらにせよ嬉しそうにはしゃぐ少女。これで大人の女性とやらに憧れるのだから可愛いものだ。

「沖矢さんかんぱーい!」

「ええ、乾杯」

カチンとグラスが鳴れば少女は恐る恐るバーボンを1口。鼻から抜けるアルコールになのか、酒の苦味になのか顔を顰めた。初めての酒がバーボンでは辛かったか。

「あれ?沖矢さんお酒飲まないの?」

「貴方を車で送るためですよ」

グラスは同じだが冷えたお茶を飲んでいた俺に、えええー一緒に飲みたいーと悔しそうに嘆く少女。表情がコロコロと代わるのは見ていて楽しい。

「あ、じゃあこれあげるー!」

少女はバーボンを口に含み、観察をしていた俺の顎を掴んだ。気付いた時には少女の舌が俺の唇をこじ開け、液体を少量ずつ流し込まれた。
無意識に酒が零れるのは勿体無いと思ったのか、少女の体を俺の体にぴったりとくっつけ口から送られる液体を啜った。

「んっ……」

しばらくして、少女の口から流れる液体が無くなった。唇を離そうとする少女の頭をそっと固定する。

「……おきやしゃん?」

唇はくっ付いていると言うのに器用に隙間を作り喋る少女。その隙間に俺は舌を滑り込ませ少女の舌を絡めとる。

「んんんっ」

びくりと少女の体が震えたが構うこと無く柔らかい少女の口内を楽しむ。バーボンの芳醇な匂いが鼻から抜けていく。これは癖になりそうだ。

驚いた。少しだけ怖がらせれば良いと思っていたが少女は攻められるだけでなく、たまに俺の唇や舌を甘噛みしてきた。官能的な唾液の音が頭に下半身に響く。流石に理性を保てなくなる……そろそろ良いだろう。

「……僕だって男、男性ですよ?」

「……ええ、分かってます。」

きょとんと首を傾げる少女。なるほど、俺は少女を甘く見ていた様だ。20歳の少女はとっくに女性の顔をしていた。

「沖矢さん、私を女性にして下さい」



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赤井さんの口調が分からぬ!!
1回全部消えてしまって心が折れそうでしたw


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