にせものamabile。 | ナノ

 F-dur 4 ※背後注意

「…そうやって聞くの、ずるい」
「なんで」



ちゅ、と僕の首筋に唇を寄せるひびきに、小さな抗議。



「だめって言っても食べちゃうくせに」
「そうだけど?」
「ばか」
「だっておまえ、駄目なんて思ってないし」
「…」




全部バレてる。




「んん、」
「ほら、もう欲しいって顔してる」
「…」
「こっち見ろって」



顔を背けた僕をひびきが許すはずもなく、顎をつかまれて無理やり前を向かされた。



「やだ」
「今日はわがままだな」




いつもは素直なのになぁ、といじわるく笑うひびき。




「やっぱ自分の部屋だから?」
「うるさいっ」
「可愛くねえ」
「知ってる!」
「嘘、可愛い」
「〜〜〜!」
「真っ赤」




どんなにトゲトゲの言葉で返してもひびきには勝てなくて、ぜんぶぜんぶ、甘くなって戻ってきちゃう。


それを受け止める余裕が今の僕にはないというのに、ひびきはどうしてこんなにいじわるなんだろう。




「ちゃんと言えよ、」
「、」



ひびきは僕のをゆるく握る。そしてそのまま、ゆっくりと動かした。

そして僕の後ろをつつ、と触る。そのもどかしさにからだが反応した。




「じゃないとずっとこのままだぞ」
「や、」




ゆっくりと、ゆっくりと、ひびきの指が僕に入ってきた。

じわりじわり、広げるようにその指は動いて。



どんなにゆっくりされても、のぼりつめるものはそこにあって、だんだんと息があがっていく僕をひびきは楽しそうに見つめていた。

それでも、僕が最後のひとおしを欲しがるとその手をゆるめてしまって、どうしたってイくことができない。




「ね、やだ、」
「なにが?」
「、やめるの、やだ、」
「だから、なにが?」




飄々と答えるひびきの手首をつかんで訴えても、やっぱりその手を止めてしまう。




「指でイきたい?」
「…」



首を横にふるけれど、それだけでは全然許してくれなさそうだ。



ひびきは仕方ねえな、と自分のをつかんで僕のそこにぴたりとあてた。あぁ、やっとだ。やっと、ひびきを感じられる。


あぁ、やっと。



「…誰もいれるなんて言ってねえけど?」
「…!」


と言いつつも、ぐ、と少しだけ押し込まれたのがわかった。少しだけ。広がって。



「んんん、」
「これだけでおまえイきそうだな」
「むり、もっと、」
「もっと、何?」
「…」
「泣いたってどうもしてやんねえぞ」
「…、」



ひびきのがまた僕から出ていって、触れているのはほんの先だけになってしまった。ねえなんで、はやく、はやく、



「…れて」
「んー?」
「ねえいれて、ひびきのいれて、おかしくなっちゃう、はやくいれておねが…あぁあああ!」
「っ、きっつ、」
「んっんっ、…んっは、はげしっ」
「分かるか?自分の部屋でおまえ、俺にくわれてんだぞ」
「わ、わかんなっ、」
「じゃあ分からせてやらなきゃな」
「ぁあ、そこ、そこやだへん、」
「ここだろ、」
「ひびき、たすけて、や、」




ぼやける視界の先、いじわるな顔で笑うひびき。




「分かるか?」
「ゃっ、」



ひびきは僕の耳にそっと囁く。




「お前のここ、俺でいっぱいになってんの」
「〜〜〜!!!」
「しめすぎ。えっろ」





はずかしい。はずかしいはずかしいはずかしい。





「あんま声出すと同室者に聞こえるぞ?」
「へ、あ、いなっ、いなかった、」
「さっきまではな」
「…へ?!や、ゃだ、」
「何しめてんの?興奮した?」
「ちっ、ちがっ…ぁああ!!」
「さっき帰ってきた音しただろ」




うそ、うそでしょ、待って嵯峨くんに聞こえる、むり、だめだよそんなの、



それなのに、ひびきは奥深くまで腰を打ち付けるのをやめない。



ピンポイントにきもちいところをこすられて、僕、もう、



「顔とろけてんぞ」
「〜〜〜!、」
「声我慢してんの?」
「、」
「たくみ」
「ひ、ひび、」
「聞かせてやれよ、おまえのやらしい声」
「あ、ぁあっ、やぁああ!こわれる、こわれるからぁっ…!」
「可愛い、たくみ」
「ね、いっちゃう、いっちゃうよ、」
「イけよ、こっちちゃんと見ろよ」
「ひびき、」



「愛してるよ」



ひびきはそう言って、激しい動きとはうらはらな、甘い甘いキスをくれた。


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