マスタード・カスタード





まめさんへ
2万フリリク企画
赤也視点の柳光
(赤→柳です)








『マスタード・カスタード』



柳蓮二。通称参謀。実はってかおもいっきり俺の好きな人。絶賛片思い中だし。ちなみに今は部活後の部室で、ふたりっきり。にも関わらず、柳先輩はそれはもう楽しそうに電話をしてる。


相手なんて、聞かなくたって分かる。

財前光。通称天才。俺の親友(って俺は勝手に思ってる)。そんでもって多分、柳先輩の好きな人。

俺と財前は、立海と四天宝寺の合同練習で出会った。最初は感じ悪いやつだと思ってたけど話してみると実はいいやつで。タメってのと立場が似てることもあって俺らはすぐに打ち解けた。アドレスだって交換して頻繁にメールもしたし、電話もしたし。俺も大阪に遊びに行ったし、あいつも神奈川に遊びに来たし。


俺は財前に何でも話した。テニスのこと学校のこと、人には言えない悩みだって。でも、柳先輩のこと好きだ、とは言えなくて。今思えば言っておけばよかったな。


柳先輩に財前を会わせたのは俺だった。こいつ俺の親友なんすよ!って。そのあと調査のためだって言われて先輩に財前の連絡先教えたのも俺。はは、上手いこと使われてんじゃん俺。馬っ鹿みてぇ。










「赤也、まだ帰らないのか?」
「柳先輩こそ電話終わったんすか」
「ああ」
「俺先輩のこと待ってたんだけど!」
「そうか、ありがとう。帰るぞ」



昔なら「ありがとう」のときに頭をくしゃって撫でてくれたのに、先輩今はもうそんなことしない。意識してやってんのか、無自覚なのか。もうどっちでもいいや。




「赤也、電話。光からだったぞ」
ずきん。

「今度こっちに来るらしくてな、」
ずきんずきん。

「お前にも会いたいと言っていた」
ずきんずきんずきん。

あー痛い。心臓潰れそ。






「先輩。財前のこと好きですか?」
「………あぁ、好きだ。」






分かってたよ。最初から分かってた。財前は柳先輩を「蓮二さん」と呼んだし、電話するたびに元気かどうか聞いてきたし。そう、分かってた。






「赤也、お前のことも好きだよ」








先輩の手が俺の頭を撫でる。もう、そういうの要らねぇんだよ。好きの種類が違うことなんて俺がいくら馬鹿だって分かる。なめんな。それでもその手を振り払うことなんて出来ないんだ。それで、財前を振り払うことも出来ない。


















夢かと、思った。

「切原!蓮二さん!!」
突然、聞こえてきたのは確かに財前の声で(あ、柳先輩開眼してる)。そっちの方に顔やると、駅の改札から財前が出て来たんだ。

「財前…」
「こっち来るって電話で蓮二さんに言うたんやけど切原聞いとらんの?」
「いや、聞いたけど…早過ぎんだろ」
「はは、びっくりした?」

財前と柳先輩を会わせたくない自分と、財前に会いたかった自分が心ん中で混ざり合う。CD返せや、とかお前こそ漫画返せ、とかしばらく言い合って。財前は柳先輩の方に向かい合った。




「蓮二さん。俺、迷惑やった?」
「………」
「会いたかった、です」
「…俺もだ」


柳先輩は顔を赤くして、今まで俺が見たことないような顔して財前を抱きしめた。財前も俺が見たこと無いような顔でボロボロ泣きだして。

「全く、光は本当に俺を良い意味で裏切る。お前のことだけは俺は冷静でいられないし、予測がつかない」
「……蓮二さん、すき」
「ありがとう」

(あぁ。これが両思いってやつか、)



「じゃあね、お二人さん!邪魔者は退散するっす!お幸せに!」

最後このまま去るのはなんか癪だからおもいっきし叫んでちょこっとだけ邪魔してやった。


「切原!明日はお前んち行かせろや!」
財前は柳先輩の腕の中で俺に叫ぶ。「分かったよ、我が儘なやつ」て言い返してやる。明日は、てなんだよ。今日は柳先輩ん家で柳先輩に抱いてもらうのか。


悔しい気持ちも悲しい気持ちもあったけど、なによりも羨ましかった。柳先輩に愛される財前が。先輩の前だけむちゃくちゃ可愛い財前が。



それでも何故か汚い気持ちは出て来なかった。「蓮二さん」と言う財前は最高に可愛かったし、「光」と言う柳先輩はめちゃくちゃかっこよかったから。これが愛ってやつなんだろうな、なんて分かりきったような顔をしてみたり。



とりあえず今から丸井先輩と仁王先輩にカラオケでも付き合ってもらって慰めてもらおう。

いつか、頭を撫でる手が柳先輩じゃなくてもいいやって思える日が来ますように。








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まめさんリクの柳光でした!本当光の出番が少なくて申し訳ないです;;赤也可愛がりすぎた←
これからもよろしくお願いします!アリアとタダ友なってください!←
リクありがとうございました!



2009.11.14 アリア


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