the star of day




光の甥っ子がきっかけになって仲良くなる謙也さんと光ちゃん(♀)
彷徨さまリク
(光とユウジがにょたです)














お休みの日。甥っ子の優を連れていった公園。遠くに飛んで行ってしまったボールとたまたま公園の入り口付近を通りすがった、それを拾ってくれた金髪の男の子。派手な見た目に反してとても穏やかな笑顔で、ボールを優に返してくれた。そのあと優のことをかわええかわええと言って、少しの間遊んでやってくれた。あの日の彼のことを、うちはいまだに忘れられずに今日を過ごしている…。









「ってあんたはアホか!」
「痛っ!ユウちゃん痛い!何すんねん!!」
「何すんねんちゃうわアホ!目ぇ覚まさせてやっとんねん!お前そんなんでまたその金髪くんに会えたら恋が始まって…とか思っとったら大間違いやで!!」
「ええやん!夢見るのは乙女の自由やんか!」
「純情ぶんな!夢見るのは勝手やけどなぁ、いちいち話聞かされるこっちの身にもなれやこの根性無し!!」


そう。ユウちゃんが言うことは間違っていない。なぜならうちは、彼に名前すら聞くことが出来なかったのだ。覚えているのは優しい笑顔だけ。住んでいる場所も年齢も、何にも知らない。自分でもあきれるわ。昔っからそう。恥ずかしいからって思っていることとは反対の憎まれ口はいくらでも叩くことが出来るのに、いざ本心を伝えるとなるとなかなか上手く出来ない。もう、いやになるなぁ。



「ユウ、そんなに財前のこといじめてやるなや」
「白石先輩…。」
「うちは光のこと思って言っとんの!蔵はこいつのこと甘やかしすぎやねん!」
「やって〜。俺の嫁怖くてごめんな〜財前」
「うちはあんたの嫁になった覚えはないし蔵のそーゆーとこが嫌いや。」
「え、一氏さんその回答普通に傷つくんやけど!!」


二人のいつも通りの夫婦漫才を右から左に聞き流しながら、金髪の彼のことを思い出す。優に彼の名前を聞いてみたところ、「お星さまのおにいちゃん!」と返された。お星さま、かぁ。何のヒントも得られなかったけどなるほど納得してしまった。キラキラ光るお星さま。しかも流れ星。あっという間にうちの前からいなくなってしもた。



「ちゅーか蔵がこっちの方の校舎来るの珍しなぁ。3の2離れの校舎やんけ」
「あー、今日謙也が弁当忘れてしもたんやって。購買で飯買うからついてきてや〜って言われたから今待ってやっとんの。」
「キモ!あいつ女子か!購買くらい一人で行けっちゅーの」


あ、そういえばうちもお弁当持ってきてないんやった。買いに行ってこよかな。今日何食べよー。メロンパンかな。アンパンもええなぁ。



「あ、光。謙也に会ったことなかったやんなぁ?白石の親友。光の星の王子様みたいなイケメンやないけどあいつも金髪やで」
「え…」
「おーい白石!お待たせー!」
「謙也おっそい。ノロノロスター」
「誰がノロノロスターや!」



その時現れたのは、金髪の、



「あーーーーーーーー!!」



お星さま!!!



「あ!!あの時の!!」
「え、財前の星の王子様って…謙也?」
「優しくって素敵な笑顔の?なんや謙也かいな」


あの時名前も聞けなかったけど、嬉しくって幸せな時間をくれた彼がまさか同じ学校だったなんて!しかも白石先輩ともユウちゃんともお友達。神様ありがとう!!



「なんや、白石ともユウとも知り合いやったんか。あのときはおおきにな!めっちゃ楽しかったわー」
「い、いえ。うちの甥っ子の面倒見てくれてありがとうございました」
「あの公園しょっちゅう行っとんの?また今度遊ばせてや!」
「あ、はい!」
「おっしゃ!あ、俺謙也!忍足謙也!白石とおんなじクラス!」
「あ、財前光です」
「よし、財前さんな!覚えた!」



優しい笑顔で胸がいっぱいになる。謙也さんかっこいい…!その日の夜、白石先輩から「謙也が財前のアドレス知りたがっとるんやけど教えてもええ?」なんて嬉しいメールが届いてうちは謙也さんと連絡先を交換した。謙也さんは正直者だ。嘘がつけない人で、分かりやすくいつも自分の思いを伝えることが出来る人だ。うちにはそれが出来ないから、とってもうらやましい。メールをしたり時に電話をしたりして、今度の日曜に公園にうちと謙也さん、優の3人で会うことになった。


謙也さんは、最初はただただ優しい笑顔のお兄さんやと思ってた。でも親しくなればなるほど、彼に夢中になっていく。優しいだけやなくってせっかちなところとか、気分屋さんなところとか、ちょっとずつ分かって行くたびに「この人ええなぁ」って思ってしまう。







「あ、財前さん!」
「謙也さん、おはようございます」
「お星さまのおにいちゃんや〜!」
「優くん久しぶりやなぁ。俺のことは謙也くんって呼んでな!」



謙也さんは本間に楽しそうに優と遊んでくれた。優も楽しそうでにっこにこで、うちまで嬉しくなってしまう。あぁ、うち謙也さんのこと好きや。もっと近づきたい。これからも遊んでほしいしいっぱいお話がしたい。他の女の子と遊んでほしくない。うちが一番近くにおりたい。これの十分の一も伝えきれないけど、それでも好き。



日が暮れる頃、遊び疲れてうとうとしだした優を抱っこして背中をトントンしてやる。


「謙也さん、今日は本間にありがとうございました。」
「ええよ。俺こそありがとうな。めっちゃ楽しかったー。優くんかわいすぎやわ。」
「優、今日謙也さんに会えるの本間に楽しみにしとったんですよ。義姉さんカレンダーにしるしつけさせて。ふふ」
「財前さん本間に優くんのことかわいがっとるんやねぇ。今日ずーっと嬉しそうに笑顔で優くんのこと見とったやろ。ええお姉ちゃんやなーって思ったわ。」



それは甥っ子だけやなくて謙也さんのことも見てたからです、と言えたらこの状況は変わるんやろか。昔から素直なこと言えへん性格は変えられなくて、可愛げないのも変えられなくて。せやけど、このままはいやや。いつまでたっても変われへんのはいやや。



「謙也さん、また優と遊んでやってくれませんか」
「おん、いつでもええよ!」
「………そんで、うちとも…遊んでくだ、さ、い。」



うわあああ。だいぶ不自然。うわあああ。でもこれが限界やもん。頑張った方やもん。謙也さんどんな顔してるかな。もう全然顔見れへん。




「…あのさ、俺さっき優くん可愛すぎやって言うたやんか」
「はい…?」
「財前さんも可愛すぎんねん」
「へ…?」



おもわず顔を上げると、謙也さんは出会ったときと同じ優しい笑顔で。にへって頬をほころばせた。



「財前さんも、俺のこと謙也くんって呼んで?」
「う、うちも…?」
「そう。そんで、光って呼んでもええかな?」
「は、はい…!」
「光、今度は二人で遊ぼっか。」



夢みたい。せやけど夢やない。次こそ流れ星さまがどっかに行っちゃわないように、少しずつ変わっていこうって決めた。いつか、うちの斜め前にある大きな手を握れますようにっていっぱい考えながら、うちは手のひらを握りしめた。
















「あんな、謙也って元々財前のこと一目ぼれやったんやで。」
「まじか。はー、一目ぼれなんてロマンチックなことしてくれるやん。さっすが謙也。」
「耳に仰山ピアスついたかわええ子知らへんかって周りのやつらに聞きまくっとったわ。俺はすぐ財前やってわかったけど黙っといた。」
「蔵って本間性格悪い」
「ま、謙也にしては今回は頑張ったんちゃう?」
「せやなぁ。光もよぉ頑張ったわ」



白石先輩とユウちゃんがうちらの様子を覗いていたことを知るのは、もう少し先のお話。







***
せーのっ あまーーーい!
そしてベター!
ユウちゃんと白石先輩が出すぎちゃいました(笑)この組み合わせ大好きなんだもん…!
彷徨さま、リクエストありがとうございました!





- 66 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -