love LOVE love




叶美の結婚前夜
ゆーのす☆さまリク


※このお話は「sweet MY wife」や「thanks LOVELY baby」を初めとする、謙にょた光夫婦パロシリーズの続きです。
オリジナル色の強い作品となっておりますのでご注意ください。
◎叶美…謙也と光の娘
◎陽平…謙也と光の息子
となっております。

















お父さん、お母さん。今まで本間にありがとう。叶美は明日、お嫁さんになります。
















「ママ…」
「ん、どうしたん叶美、まだ寝てなかったん?」
「うん、ちょっと寝付けへんくて」



大事な大事なうちの娘の叶美は、明日お嫁に行く。もっと謙也さんに似ればよかったのに、真面目で頑固なところとか本間にこの子はうちにそっくりだ。せやからその分うちはこの子の気持ちが分かる。分かってあげられる。



「パパは?」
「もう寝室戻っとるよ。あの人泣き虫やからね、ふふ」
「…ママも、かながお嫁行くのさみしい?」
「さみしいよ。せやけど叶美が幸せになることの嬉しさのがもっともっといっぱい。せやからママは明日楽しみやな」



叶美はうちに似て素直やない。せやけど、うちに似て優しい優しいパートナーを見つけるのは上手。叶美の旦那さまになる人は謙也さんみたいにあったかくて素敵な人やった。やからうちは何にも心配してない。叶美は浮かない顔をしているけど。



「ねぇママ、」
「ん?」
「ママは、パパと結婚するとき不安やなかった?この人と幸せになれるかなぁ、とか、ずっと笑顔でいられるかなぁ、とか…」


愛おしい我が子の頬を撫でる。全く、この子はうちに似すぎた。息子の陽平は謙也さんに似すぎたし。困った親子やね。



「うーんとね、正直ママは全然不安やなかったかな。」
「全然?」
「うん。ぜーんぜん。」



疑いの目を向ける叶美に微笑みかける。



「あの人…謙也さんな、昔っからママのこと大好きやねん。叶美覚えてる?あんたがまだ小さい頃に『世界で一番誰が好き?』って謙也さんに聞いたんよ」
「覚えてへん…」
「ふふ。あの人な、『光』言うたんやで。大人気ないやろ?娘にそんなこと聞かれたら普通『お前やで!』って言うやろ?」
「パパあほや…」
「うん、あほ。あほやけどな、優しい優しい叶美のパパや。」





謙也さんは、今までに何回「絶対に幸せにしたるよ」と言っただろう。謙也さんは、これから何度「光、大好きやで」と言うのだろう。謙也さんは、うちのことが好きで好きで好きで仕方ない人だ。ドラマに出て来そうな台詞を噛みながら言うような人だ。そんな謙也さんがうちは大好きなんだ。そんな謙也さんとの子だからこの子も陽平も、すごく良い子に育ったんだ。




「叶美も旦那さんのこといっぱいいっぱい愛してあげるんやで。ママの子やもん、心配しなくても絶対幸せになれるわ」
「…ホンマ?」
「ホンマ。今までママが間違ったこと言うたことある?」
「…ない。」
「せやろ?」




「…ママ、ありがとう。うちも、絶対ママみたいに素敵な花嫁さんになるからね。」



大丈夫。叶美は絶対めちゃくちゃ可愛い花嫁さんになれるよ。叶美はうちにそっくりやけど、謙也さんみたいなあったかい心も持ってる子やから。


















「なんや、そんなとこおったら冷えますよ」



寝室に戻ると謙也さんがベランダで黄昏れていた。振り返った謙也さんは半ベソで、いくつになっても可愛い人だなぁ、と思ってしまう。



「あー…明日、やなぁ」
「そうですね」
「明日泣きそうや。あ〜俺の叶美が〜…」
「もう今の時点で泣きそうやないですか。」
「今なら俺、光のお兄さんの気持ち分かるわ…」
「ははは!何十年越しの和解!」





謙也さんはうちをぎゅっと抱き寄せた。



「光、ありがとうな」
「なんですか急に」
「いや、俺が今こんなに幸せなのは光のおかげやし。嫁さんもろて子供出来て、旨い飯食っていっぱい笑ってさ。そうゆうのってすごいよな。そんなすごいことが起こっとるのは全部お前が俺に付いてきてくれたからやん。」
「…語りますね」
「え、あかんかった?」
「謙也さんの優しさは、ここまでくると才能やわ」



謙也さんはニカッと笑ってうちのおでこに自分のおでこをくっつけた。



「俺の優しさが才能なら、光は俺を幸せにする才能ありまくりやで。天才忍足さん!」









ねぇ、本間は明日、うちも泣いてしまいそうなの。大好きな娘がお嫁に行くんやもん、嬉しいけど嬉しいだけやないの。寂しいの。やっぱり、寂しいの。せやけどやっぱり楽しみ。叶美もきっとこれからめちゃくちゃ幸せになるんや。謙也さんとうちみたいにね。



謙也さんはきっと、ずっとずっとこのまま変わらないんだろう。ずっと優しくてずっとヘタレでずっとずっとうちのことが大好きなんだろう。
うちもずっと謙也さんが好き。大好き。叶美にもそんな夫婦になってほしいな。幸せになってほしい。孫が出来たら謙也さんと一緒に甘やかすの。




明日涙が出そうになったら、謙也さんの手を強く握ろう。次の日「叶美が生まれた日の夢見た〜」なんて泣きながら起きる謙也さんは、うちと一緒に泣いてしまうかもしれへんけど、許してな?



大好きな娘の花嫁姿を夢に見ながら、謙也さんの胸に擦り寄って眠った。明日はきっと、幸せな一日!












***

シリーズ化していたのでリクエストをいただけてとっても嬉しかったです!書けて幸せです〜!
ゆーのす☆さま、リクエストありがとうございました!





- 61 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -