君が好きなのです。





7万打フリリク企画
光受けで赤也と日吉が光を取り合う
ともかさまリク
















一人控え室に戻ってため息をつく。ちょっと大人げなかったかもしれない。



3年生引退後、各学校が集まり大規模な合宿が行われた。それぞれこれから活躍するであろう中心的な選手が集まったためなかなかレベルの高いものとなった。他校の生徒との交流もプログラムの一環のひとつ。


だが俺は、どうやらどうしても切原赤也とは馬が合わないらしい。




理由なんてもう忘れた。とりあえず何かいろいろとでかい声で文句を言われて、俺は部屋を飛び出した。今分かるのはそれくらいだ。弟気質というのは得なもんだ、と皮肉めいたことを思ったあと、まぁなかなか素直になれない自分も人のこと言えないな、とも思った。



「日吉。」
「………財、前」



食うやろ?ってカップ善哉を机の上にふたつ置いて俺の正面に座った。



「切原のやつ。ホンマ甘えっ子でアカンわ」
「…………」
「ホンマ、上が出来ると苦労するな、お互い」
「…慰めにでも、来たのか」
「おん。悪い?」
「いや…」
「なんや俺、切原よりもお前との方が性格似とる気ぃすんねん。やからなんとなく気持ち分かる気がしてしもて」




ただ単純に、嬉しかった。俺はどこかもの寂しさを感じていたのだろうと、この時初めて気が付いた。




「…俺にはな、金ちゃんがおってくれるんや」
「は?」
「お前には、樺地も鳳もおるやろ」
「………」
「あいつには、おらんねんな。みーんないなくなってしもたから。そら寂しいやんな。やからちょっとくらい、甘やかしてやってもええかなーって」



ほな、選手交代。
財前は部屋から出て行って、代わりに切原が入って来た。目つき悪。俺も人のことは言えたもんじゃないが。そうか。こいつは俺よりもずっとずっと心細くて、寂しかったんだ。



「…日吉。」
「あぁ」
「さっき、ごめん」
「いや…俺も、悪かった」




切原はニカッと笑って「じゃ、仲直り!」と言った。



「いやーお互い苦労すんな、日吉」
「何がだ」
「またまたー。わかってんだろお前。なかなかおちねーわ、あの天然」
「……。」
「ずるいよな。バッチリ期待させてくれちゃって。あんな優しくされたら勘違いするっつーの。なぁ?」



俺が無性に腹が立ったもうひとつの理由。それは、財前が切原ばかり構うから…って餓鬼か俺は。本当に馬鹿らしい。


それでもなんとなく明かりが見えた気がした。認めてしまえば楽なもんで、とりあえず今は財前とどうこうなろうって言うよりも、奴がくれた優しさを俺も返そうって思った。



だけど「仲直り、出来た?」ってこっそり俺に聞いてきた財前が心底可愛くて。あぁ、俺はまだまだもらってばかりだな、と情けなくもにやけてしまうのだった。











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