暗闇から逃げないで





7万打フリリク企画
ユウ光で、光の危機に心底心配するユウジ
とりとりさまリク
(3年引退後設定)









俺は分かったような顔して、こいつのこと全然分かってやれてなかったんやなぁ。







「んぅ…!」
「ちょ、光?!どないしてん?」
「ぃ、痛い…いたい、」
「どこが痛いん?立てるか?」
「むり…うぇ、」
「ひかる!!」



光は急に腹押さえてしゃがみ込んだ。きっと我慢してたんやと、思う。俺は軽くパニックになってしもて、阿保みたいに光の名前を呼ぶことしか出来なくて。たまたま近くにおった銀が光を抱き上げて保健室連れてってくれた。保健室には調度委員会の仕事で白石がおって、俺は光を白石に任せて不在やった保健室の先生呼びに行った。












「胃痛、やってさ。ストレス性の」


保健室の先生呼んで、「先生!光大丈夫やんなぁ!?絶対大丈夫やんな!!」言うたら早退させるから荷物とって来いって頼まれたから2年7組まで走って、汗だくのまんままた光の元に走った。


俺の代わりに先生の話聞いとった白石に、光の様子を聞いた。


「す、ストレス…?」
「おん。元々こいつ貧血持ちでよぉ保健室来とったらしいわ。最近夜寝れへんくて昼間ここで休んだりしとったらしいし。玲子(←保健医)も心配しとったわ」
「おい世界の女はお前のもんか」




俺たちは部活を引退した。新しい部長は勿論光。白石のあとの部長だなんてプレッシャーに決まっとる。大丈夫か?って聞く度に「まぁ白石部長には変態具合では負けますけどね」なんて生意気な顔して笑うから。



大丈夫なわけ、ないじゃないか。人一倍辛いことを抱え込むこいつが、何故平気でいられると思ったんだろう。



「ほなユウジ、あとはごゆっくり。玲子によろしくな」
「はぁ…お前ってホンマ喋ると残念やな」
「光のこと、ちゃんと甘やかしてやって。お前の言うことなら聞いてくれると思うから」
「……おん。おおきに」



ベットにかかったカーテンを静かに開けると、苦しそうな顔した光が寝とった。眉間に皺よっとる。うなされとるような表情に胸が痛んだ。汗だくの光が寝返りをうったときに汗がつぅっと流れて、まるで泣いてるようやと思った。俺は光のお腹に手をあてて優しくさする。


「…治れ、治れ…治れ、なーおーれーえ」


こいつが辛いときは守りたい。頼りないかもしれへんけど、自己満足になってまうかもわからんけど、それでも。



「ん…ユウジ…先輩、」
「光、大丈夫か?まだ腹痛いか?」
「ん、大分マシっすわ」


汗で張り付いた前髪をすいてやると、目を細めながら「迷惑かけてすみませんでした」言うた。



「光、もう体しんどないか?」
「はぁ、まぁ」
「部活どないする?今日は休むやろ?」
「うん、そうしよかな」
「帰り一人で帰れるか?」
「そのくらい大丈夫すわ」
「なんか飲みたい?」
「……ユウジ先輩、ホンマに心配かけてもうたね」


先輩の方が顔色悪いくらいっすよ、って光がひんやりした手で俺の頬を撫でた。


「光、頼りないかもわからんけど、これからは俺にもっと頼ってほしい。しんどいこととか全部話してほしい。光が弱っていくのなんか見たない。光のこと、もっと分かりたい」




「………やっぱり、白石部長みたいには、なれへんくて。俺は俺やって分かっとるはずなんやけど、あかんくて」
「おん」
「ユウジ先輩、今夜泊めて?そんで、優しいしてください……」
「うん。お前のためならなんでもしたる」




どっかの偉いやつが、「明けない夜は無い」なんて名言を残しとるらしいやないか。せやけど逆に言うと、夜は必ずやってくる、っちゅーことやろ。
俺は、光には暗闇でも自分の道照らして歩いて行ける男になってほしい。俺はそんな光を支えるバッテリーみたいな存在になれたらええな。俺でも、なれるかな?


なんでも溜め込むこいつやから、今夜はちょっとええことでも言ってやって、思いきり泣かせてやろうとこっそり思った。









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