大事にするって約束するね。





7万打フリリク企画
ユウにょた光で幼なじみパラレル。近所のお兄ちゃん的立ち位置のユウジ。まだカップル成立してない前提で、成立するところまで
アサノユズさまリク











うちの大好きだった人。今でも大好きな人。彼は変わってしまったかもしれないけど、うちは変わることが出来なかったのだ。
だって、すごくすごく好きやったから。






「財前、邪魔すんで」
「え、ゆ、……ひとうじ、先輩……な…なんで」
「お前今日一人なんやろ。俺の母さんが行けって言うたから」



今日はお母さんもお父さんもおらん。それに加えてお兄ちゃんも甥っ子も、義姉さんも留守。せやからうちは今日はお家でひとりぼっち。いつもは誰かしら家におるから寂しくないと言ったら嘘になる。せやけどもう中学生やし、ひとりでもへっちゃらやもん。


なのに、うちのお母さんときたら(というかどちらかと言うと、言い出したのは彼のお母さんなのか?)。料理が全然出来へんうちを見兼ねたのか、夜ひとりぼっちなのが危ないと思ったのか。とりあえず、一氏先輩…いや、ユウくんが来てくれた。





うちはユウくんのことが大好きやった。小さい頃からうちとよぉ遊んでくれたユウくん。周りの大人たちは「ユウジと光は本間に仲良しやねぇ。兄弟みたいやね」言うたけど、うちはそんな風にユウくんのこと思ったことなんてなかった。ユウくんのことをずっと男の子として好きやったんやもん。ぶっきらぼうやけど優しいところとか、かっこいいところ。全部全部今でも好き。



せやけど、ユウくんはうちが中学生になってから変わった。うちは「やっとユウくんと同じ中学校に通える!」って嬉しかったのに、ユウくんはどうやらホモ?らしい。テニス部の小春先輩にべったりでうちには目もくれん。呼び方もいつの間にか「財前」やった。昔は「ひーちゃん」って呼んでくれたのに。せやからうちも「ユウくん」やなくて「一氏先輩」に変えた。



今更、なんやねん。いやユウくんは来たくて来たわけやないか。久しぶりにしっかり見たユウくんの姿。やっぱりかっこよくて、うちはまだユウくんのこと好きなんやなぁって思い知った。



「ちょぉ台所借りるで」
「あ、はい…」
「心配せんくても飯作ったら帰るから」
「そうです、か」
「…何食いたい?」
「……オムライス、食べたいです」
「ん」



まだ甥っ子が産まれる前。家族みんな忙しいとき、時々ユウくんがご飯作ってくれたっけ。台所に立ったユウくんを見とったら涙が出てきて、自分の部屋戻ってこっそり泣いた。












「財前、食え」


ユウくんが作ってくれたオムライス。ユウくんと久々に向かい合って食べるご飯。一口スプーンで掬って口に運ぶとすごく懐かしい味がした。さっきまで隠れて泣いとったせいか緩みきった涙腺は言うこと聞いてくれんくて、うちの目から涙がぼろぼろ出てきてしまって。


「ちょ、どないした?!」
「ぅ、お、おいしいです…ひっく、おいしぃ…うぅ、おいしいぃ…」
「………そうか」


わんわん泣きながらご飯食べるうちは多分酷い顔やったと思う。せやけどユウくんはなんも言わんと傍におってくれた。












少し自惚れてしまったと思った。失態も見せてしまったし、欝陶しいとも思われただろう。ユウくんはうちのことなんとも思ってないのに。…勝手にうちが好きなだけやのに。


「一氏先輩、ごめんなさい。うち、もう大丈夫ですから。ご飯ありがとうございました。おいしかったです」
「…………なんでやねん」
「え、」
「なんでお前はいっつもそうやねん。無理して笑うねん」
「ちょ、一氏先輩、」
「中学入ってから急に可愛くなりやがるし……謙也がお前のこと気に入っとるから協力しろってうざいねん。俺は、俺は協力なんかしたないっちゅーねん。俺なんかよりも謙也のがええやつやし、かっこええし背も高いし、お前にはあいつのが似合っとるっちゅーのも分かっとるけど…」




うちから離れてったのはそっちやないですか。せやけど、都合ええかもしれへんけど、ユウくんがうちから一度離れたのは友人である謙也さんのためってこと?でも実際ユウくんはうちと謙也さんが仲良ぉするのに協力したくなかったわけで、可愛くなりやがって、だなんて嬉しいことも言ってくれたわけで。え、頭がついていかへん。これって、これって………自惚れてもええってことですか?



「お願いやから、一氏先輩ってのやめろや…」
「え…」
「ユウくんって呼べ、阿保…」


ユウくんは、机に突っ伏して言うた。


うちは小さめの声で「ユウくん、」って呼んでみた。そしたらもっともっと小さい声で「…ひーちゃん、」て呼んでくれて、夢みたいやと思った。



「ひーちゃんが好きや」
「ユウくん…」
「すぐ無理して人に迷惑かけるとことか、女のくせに家事出来へんとことか、素直になられへんとことか、めっちゃ好きや」
「…うちも、目つき悪くて口も悪くて、態度でかいユウくんが好き」
「ホンマかいな。ぼろくそ言いよって」
「そっちこそ意地悪ばっかりやん!」
「俺はホンマやで。ホンマに、ひーちゃんが好きで、大事やねん…。」



ひーちゃんこっちきて、て優しい声で呼ばれて、膝の上に乗せられて後ろからぎゅーってされた。もっと早くこうすればよかった、て言ってくれて、また泣きそうになった。



ユウくん、あのね。
ユウくんと話せなかった間、本当に本当に寂しかったの。財前って呼ばれたの、本当に本当に悲しかったの。やからこれからはいっぱい話したいしいっぱいうちの名前を呼んでほしい。



「あ〜…謙也に何て言おう…」
「ユウくんがええ顔するから悪いんやで」
「そんなこと言わんと一緒に何て言うたらええか考えてや」
「ん〜…うちの名前呼んで、ちゅうしてくれたらええよ?」



ユウくんはいっぱいひーちゃんかわええ、とかひーちゃんすき、言うてくれて、いっぱいいっぱいちゅうしてくれた。あーあ、失敗やったな。言い訳考えたる約束守られへんわ。今、ユウくんのことしか考えれんもん。


とりあえず今は、離れとった分ユウくんを堪能してやることにしよう。これからは絶対、離れてなんかやんないよ!






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リクエストありがとうございました!





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