アイリスの花が咲く





7万打フリリク企画
謙光♀+千蔵♀で子育てパロ
吹雪さまリク








ピンポンピンポンピンポーン!
夜8時頃、けたたましく鳴り響くインターホンの音。うちはまだ首も座っとらん長男を抱っこしとった。

「新聞屋さんかな?パパ、ちょっと出て」
「はいはーい」


謙也さんがドアを開けると、そこに立っとったのは白石さん。びっくりしたのが、わんわん泣いとったこと。「うぅ〜…ひかる、ひかる〜!!けんや〜!!」言うて余計に泣き出す。謙也さんの後ろから長女が覗き込む。


「くららちゃんや!どうして泣いとるん〜?」
「白石どしたん?ちょお中入りや」
「うぇ、…っ、ごめ、ごめんなぁっ、そろそろ、子供、寝かせて…セックスの時間「あああああ分かったからはよ中入ってやああ!!」









うちと謙也さんと白石さんは学生時代からの知り合いで、昔から仲良くしとった。白石さんは優しくて綺麗でいつでもうちを助けてくれる大好きなお友達。


うちは大学出てからすぐ大好きな謙也さんと結婚した。謙也さんは意外と独占欲が強く、結婚したい結婚したいと学生時代にも散々言われとったからうちにとって謙也さんとの結婚は当たり前やった。


白石にも長い間付き合うとる彼氏、千歳さんがおる。千歳さんも学生時代からの知り合いで、優しくてかっこいいけど放浪癖のある自由人やった。うちは千歳さんもお兄ちゃんみたいで好きやけど、白石さんをよく不安にさせるところは好きやない。







我が家の子供たちを寝かしつけて、お茶飲んで少し落ち着いた白石さんの話を聞く。


「はぁ、急に本間にごめんな」
「そんなん気にせんくてええですよ。どないしたんですか?……千歳先輩、ですか?」


白石さんはまた顔を少し歪ませて涙を零した。



「う、やって…千歳、全然帰ってこぉへんねん…っふぇ、一緒に住んどるはずやのに……」
「そんなん言うても千歳、輸送トラックの運転手やろ?仕事忙しいってことやん。あんま責めたら可哀相やない?」
「あんな放浪癖ホンマに仕事しとるんか信じられへんわ!!」



なんで千歳は、結婚しようって言ってくれへんのかなぁ、って白石さんは言った。


「うち、光が羨ましいねん。謙也と早いうちに結婚して……子供もおって、さ。立派なママや」
「白石さん……」
「なぁ光、うち、光みたいなお母さんになれるかなぁ…?」
「「え、」」


「赤ちゃん出来たの。千歳との、赤ちゃん。」



嬉しいことのはずやのに白石さんは悲しそうで。千歳先輩は白石のこと大好きなのに。ふたりの赤ちゃんは絶対に可愛いのに。


すると、謙也さんが口を開いた。


「お前、それちゃんと千歳に言うたんか」
「…言うてない」
「なぁ白石。そういうの千歳になんも話さんといろんなこと決め付けるんは卑怯やで。千歳はちゃんと白石のこと好きやろ。信じてやれや。
……俺な、赤ちゃん生まれてからな、光のこともっともっと大好きになったんや。愛しくてたまらんくなった。やっぱり世界で一番好きなのは光やなぁって思った。最低のパパやけど、やっぱり光が一番やって」


謙也さんの言葉に思わず泣きそうになったけど、今うちが泣くのはあかんと思ったから一生懸命我慢した。


「光な、ホンマに良いママやねん。ご飯も美味いししっかりしとるし、光の…うちらの子はええ子に育つやろなって思う」
「…うちも、謙也さんは最高のパパやって思います。優しくて、家事も手伝ってくれて。でもね、なんでこんなに幸せかって言うと、」



うちが謙也さんが好きで好きで仕方なくって、傍で笑っとってくれるとなんでも出来ちゃう気がするんです。


そう言うと白石さんはまだぺたんこのお腹を撫でながら「うちも、光みたいなママになりたいなぁ」て言うてくれた。




ピンポンピンポンピンポーン!!
「白石さん、お迎え来たみたい。パパ〜」
「はいはい」


ガチャ
「謙也!!白石は!?白石来とらんと!?」
「ちょお子供寝とるんやから静かにしてや」
「変な置き手紙あったけん、白石がどこに行ったんか此処くらいしか分からんくて…」



すごい慌てた様子の千歳さん。汗ぐっしょり、走ってここまで来たんやろなぁ。



すると白石さんは玄関からひょこっと顔を出した。


「白石!やっぱりここにおった!」

そして、お腹を摩りながら言った。



「…はぁ。全然帰って来てくれへん、駄目なパパやね」








「え、な…なに、ぱぱ?へ、………えぇええ?!うそ、ぱぱって、え?出来たと?!おれと、白石の……えぇ!!ほんに?!うああぁ…!」


こんなに慌てた千歳先輩見るのは、はじめて。一人で騒いでへなへなその場にしゃがみ込んだ。顔は真っ赤で目元は潤んでいた。白石さんが駆け寄る。


「千歳…」
「白石……たいぎゃー嬉しか…。おれ、白石との赤ちゃんのぱぱかぁ。やばい、嬉しか……!」
「産んでも、ええってこと…?」



「当たり前っちゃ!!白石、おれとの赤ちゃんば産んでください!!白石のこと、ほんなこつ、大好きやけん!ずっと一緒におって!!」



白石さんは千歳さんに勢いよく抱き着いてわんわん泣いて。謙也さんとうちは顔を見合わせて笑った。白石さんの花嫁姿はきっと、すごい綺麗なんやろなぁ。


ふたりを見てたら、なんだかうちまで謙也さんとこうなれてよかったなぁ、って強く思ってしまって。握られた手に思わず力を入れてしまった。


明日は、お弁当作って子供たち連れて、ピクニックでも行こうかな。もちろん、あなたと手を繋いで。大事な大事な子供たちがいるのにあなたのことが一番大好きな私は、ママ失格かも、ね。









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リクエストありがとうございました!





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