ラストネームをあげる





7万打フリリク企画
オサにょた蔵で結婚もしくは妊娠ネタ
綾子さまリク











元四天宝寺中のミス・パーフェクトは卒業してから随分たった今でも相変わらずパーフェクトやった。良い高校入って良い大学入って、今やって安定しとる会社に入ってうまいことやっとる。昔から綺麗や綺麗やと言われとったけど、今のんがそん時と比べても断然綺麗や。そんな白石の唯一パーフェクトやないとこ。それは男の趣味。



「白石〜大丈夫か?」
「ん、オサムちゃん…」
「大人しく寝とってや」




珍しく体調を崩した白石はここ二日くらい仕事を休み、俺の…いや俺たちの布団で横になっとる。


ミス・パーフェクトな白石さんが好きになったのは、一回りも年上の汚いおっさんである俺やった。告白をしてきたのは白石で、その時は卒業するまでは先生と生徒でおらなアカンって答えた。白石はその言い付けを守って待っとってくれたんや。


それから俺らはずっと一緒やった。時々喧嘩もしたけど、俺は白石だけが好きやったし目移りのしようがなかった。せやけど白石は、もっとええ男と付き合えたはずやねん。俺が縛っとってええような奴とちゃうねん。やから、白石が他に好きな奴連れて来たらそれはそれで仕方ないって思っとった。やけど俺らは今も一緒におるわけで。


高校卒業した白石が「オサムちゃん家住むことにしたから」なんて言い出して始まった同棲生活も慣れてしまえばどうしようもなく愛おしいモンになった。家におればかわええ白石が美味い飯作ってくれとって、俺はこのまま自分がどんどん駄目になってったらどうしょう、なんて思う。



「白石?素麺茹でたったけど食えるか?」
「………。」
「お前気持ち悪い言うてここんところろくに飯食うてへんやん。体力つけなアカンやろ?」
「…オサムちゃんも食べるなら、食べる」
「おん。俺も一緒に食うから」


向かい合って食事を採るようになって変わったことと言えば、白石はどんどん綺麗になることと俺はどんどん老け込んでくこと。たとえ青白い顔しとっても白石はやっぱりめちゃめちゃ美人で。こりゃホンマにいつか手放さなアカンくなる気ぃするなぁ…。



白石は綺麗な手で正しく箸を持ち、ピンクの色付き素麺だけを器用に救いとって。それを口に運ぶことなく、俺に語り始めた。



「…なぁ、オサムちゃん。今からうちが言うことよーく聞いとってな?」
「おん、なんや?」
「あんな、うち、風邪ひいとる訳やないねん」
「は?昨日病院行ってきたって言うとったやん」
「産婦人科」
「へ、」
「最近気持ち悪いの、つわりやねんて」
「ちょ、白石…?」



「うちの中におんねんて。オサムちゃんとの、赤ちゃん」


白石はそう言うとふにゃ、て力無く笑って、ぽろぽろ泣き出した。



「なぁ、オサムちゃん…うち、産んでええかなぁ?っひ、うち、まだまだガキやけど、産んだらアカンかなぁ……?」


白石は阿保やなぁ。お前、なんでこんな汚いおっさんが好きやねん。で、俺はもっと阿保や。


「白石、引越そか。もっと広いとこ」
「え…」
「俺こんな汚いとこ住んどるけど実は結構貯金あんねんで?公務員なめんなや」
「オサム、ちゃん…」
「白石、こんなおっさんが旦那でもええ?子供が成人するとき俺もうじーさんやで」
「オサムちゃん、うち、産んでええの…?」


ここまでベタボレなのになんで分からんかなぁ。もう罪悪感とか全部捨てたる。お前がその気ならもう離してやらん。


「白石、結婚しよ」



そう言ったら白石は顔覆って泣き出した。


「白石、そこで泣いとらんとこっち来ぃ」
「…もう、白石ちゃうもん。うちもオサムちゃんとおんなじ苗字になるねんもん…」
「はは、せやったなぁ。
…おいで、くら」



そう言ったら俺のかわええお嫁さんは勢いよく俺んとこ飛び込んできて素麺の器がひっくり返った。あーあ、布団びっちゃびちゃ。



左手で白石…いや、くらの背中摩ってやって、右手で視界に入った煙草の箱ごみ箱にほうり込んでやった。赤ちゃんに悪いからな。


くらと出会って俺の人生は変わった。こんなあったかい幸せをまさか自分が手にする日が来るなんて。


明日は手繋いで散歩でも行くか、なんて年甲斐もなく言ったら、明日は指輪探しに行くの!だなんて、しっかり者で世界一可愛い俺の嫁さんは笑った。









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リクエストありがとうございました!





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