仕方ないから許してあげるよ





7万打フリリク企画
ユウ光♀で喧嘩ネタ
めいさまリク












ユウジ先輩は冷たい。一生懸命告白して、まさかのオッケーをもらって浮かれたうちに待っとったのは、ユウジ先輩のきつい言葉と態度やった。


まず小春先輩のことを優先するし、キスは勿論、手ぇすら繋いだこともない。告白したときやって「別に付き合ってやってもええで。暇やし」なんて言われて不安やったけど、ずっと相談しとった謙也さんに「ユウジのやつな、意地張っとるだけやで。本間はあいつ、ずっと光のこと好きやったんやで!」なんて明るい笑顔で言われてそんな不安は吹っ飛んだ、はずやった。


ユウジ先輩は本間にうちのこと好きなんか?ってくらい冷たかった。一緒に帰ろうと誘えば嫌な顔をされて、休日遊ぼうと誘えば小春がおるからって断られた。


そんである日。いつもなら流すはずのきつい言葉についカチンときて、つい言い返してしもた。
そうしたらユウジ先輩はさらに言い返してきて、そのままもう一週間話してへん。


最初のうちはきついこと言われたりしたら泣いとった。それでもユウジ先輩が時々する、照れたような怒ってるような顔を見るとなんだかどうでもよくなってしもて。せやけど今回は本間にうちの心が悲鳴をあげとった。辛い、苦しい、悲しいって。このまま付き合うとってもうちは傷つくだけや。うちは馬鹿や。大馬鹿モンや。こんなになってもユウジ先輩が嫌いになれんなんて。




「光、顔色悪いで。大丈夫か?」
「大丈夫ですわ…」


部室へ向かう足取りはかなり重い。ユウジ先輩と険悪な状態になってから、涙なんて出ぇへんかった。果たしてショックがでかすぎたのか、辛いことに慣れてしもたのか。いつも頭ん中はぼーっとしとって寝れへん日が続いた。そういえば最後に固形物を胃に入れたんはいつやったやろうか。そんなこと謙也さんには絶対言えへんけど。



そしたら前の方にユウジ先輩がおった。正確に言うと、ユウジ先輩と小春先輩。ユウジ先輩の顔はここからは見えへん。せやけど小春先輩の表情はいつも以上に笑顔でいっぱいで。あぁ、ユウジ先輩もきっと似たような顔しとんねやろな、って思った。うちがどんなに辛い思いしとっても、傍におらんくても、ユウジ先輩はへっちゃらなんや。



急に酷い目眩がして立ってられへんくなる。ぐにゃりと歪んだ視界はしゃがみ込んだあとも直らんくてぐるぐる目が回ってすっごい気持ち悪くなった。まともに声も出せんくてぜぇぜぇ必死で息を吸う。謙也さんの「光!!大丈夫か!?」っていう声が頭にキンキン響いて思わず目をつむった。その後すぐにうちの意識はふわーって飛んでってもうた。なんとなくユウジ先輩の声が聞こえた気がして、都合のええ自分に呆れた。













目が覚めると日影におった。頭に乗せられた濡れタオルが気持ちええ。吐き気は相変わらずやけど目眩は大分ましになっとった。


「光!!大丈夫か!?」


そう声をかけてきたのは、謙也さんやなくてユウジ先輩やった。驚いた。ユウジ先輩がうちの心配するなんて思わんかったから。それ以上に驚いたんが、ユウジ先輩がぼろぼろに泣いとったから。


「ユウジ先輩…何泣いとるんですか」
「っ、おまえが、倒れるからやろ…!光、抱き上げたら、ひっく…本間、軽ぅて、びびった…」
「抱き上げた、て…」
「お前、飯食え、阿保…」
「…やって、ご飯食べると吐いてまうんやもん。…一週間くらい前から」


そう言うとユウジ先輩の目からぶわっと大粒の涙が溢れた。


「ひがっ…うぅ、たのむ、から、ちゃんと飯、食っ、て…く、」
「…なんでユウジ先輩が泣くんですか。泣きたいのはうちの方でしょう」
「…ごめ、ひかる、ごめん!!すきや、すきやぁぁー!!」
「……!!ユウジ先輩…」



ユウジ先輩は泣きながら言う。
本間はずっとうちのことが好きで、告白されたときは本間に嬉しかった。せやけど本間に恥ずかしくて照れてしゃーなくて、その度落ち込んで。うちは仲良うしとる謙也さんと付き合うた方が幸せになれるんやないかと思った。せやけどユウジ先輩は本間にうちが好きやから、ユウジ先輩から別れようなんて言えへんかった。せやからうちがユウジ先輩のこと嫌になって別れやすくなるように、酷いことを意識して言うとった。さっきやって小春先輩はユウジ先輩を励まそうとしてくれとったけど、全然笑顔が作れへんかった…。そこまで言ったあと、わぁぁあーん!って思いっきし泣き出した。


あーあ。はやとちりしてこんなに泣いて。本間格好悪い。ちなみにこの格好悪い男、うちの好きな人。


「先輩、もう泣かんでくださいよ。それよりうち体調悪いんやから抱っこして背中摩ってください。あとうちは、ユウジ先輩しか好きやないんやからもう勝手な勘違いせんでくださいね。結構傷ついたんですから」


それだけ言ったらユウジ先輩はしゃくり上げながらうちをぎゅぅーってしてくれて。熱い体がなによりの証拠ですよね?



これからもっと、好きの気持ちを大事にしたい。うちも意地張ってしまうかもしれんけど、たまには素直になるように頑張るから。

ユウジ先輩、好き。





ちなみに、この一件のあと何かを吹っ切れたユウジ先輩がうちにデレデレになったのは言うまでもない…。






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リクエストありがとうございました!





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