離さないで、





「Love Drops」の春月美桜さんより当サイト1周年記念でいただきました!












「ひーかーるーぅ」




大きく名前を呼ばれて遠くでブンブンと手を振られる。その様が似合ってるだけに怖い。軽く手を振り返せば満面の笑みを浮かべ、金太郎は隣に立っていた千歳先輩の服を引っ張り俺を指指しながら何がを話す。まあ大抵「光が手振り返してくれた!」やと思うけど。

コートにいる二人の前で曲がり部室へと向かう。途中で小春先輩とユウジ先輩とばったり。




「あら光ちゃん、今日は早いのねえ」
「たまたまですわ」

「おい小春に何やその態度!」

「ユウジ先輩うっといっスわ」

「はああ!?」




楽しそうに笑う小春先輩と怒るユウジ先輩。軽く二人に頭を下げて部室へと向かう。そして部室前で師範と部長、そして副部長と遭遇。




「財前はん、おはよう」

「おはようさん、財前」

「おはよう、財前」

「おはようございます」



軽く頭を下げて挨拶すれば部長が俺に耳打ちする。ふわりと良い香りが俺の鼻をくすぐった。




「謙也、部室でまっとるで」

「…部長」
「ほな先いっとるで」




ポンポンと頭を撫でられ、少し睨みつければ師範と副部長も笑っとった。なんやねん、それ。

三人が完全にコートへ向かったのを見届けてから部室のドアを開ける。そこには部長が言った通り謙也さんがおった。ベンチに座ってなんやラケットの手入れをしとって。




「おはようございます、謙也さん」




集中している彼にそう声をかければようやく俺の存在に気づいたのか顔を上げて視界に写った俺を見て謙也さんは満面の笑みを浮かべた。




「おはよう、光」




俺はなんだかんだ部活の皆が好きや。悪態ばっかつく俺を見放さないで気にかけてくれて。優しくて、明るい先輩らに金太郎。でも一番好きなんは誰よりも惜しみなく俺に愛を注いでくれる人。




「謙也さん」

「ん?」

「…俺、謙也さんのことむっちゃ好きです」

「え、え!?」

「せやから俺のこと手放さないで下さいね」




何時もなら言えない言葉がさらりと口から出たのは何故か。そんなん分からんけど、でも謙也さんが顔真っ赤にして嬉しそうに笑ってくれたから良しとしよう。






離さないで、
(ずっとずっと傍においといて)








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めっちゃ可愛いお話ですよね…!四天っ子はみんな仲良し的な!謙光は公認的な!ラケット整備する謙也さんがかっこいい…抱いて!
みーちゃん、ありがとうございました!!





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