儚い(人が、夢をみること) (謙光前提光←ユウ)





好きなタイプ:小春。てか好きなもの:小春。一番大切にしたい人:小春。俺の生きる原動力:小春。俺は小春のためやったらなんやって出来る。

「小春ぅ〜次の小道具これでえぇかなぁ〜」
「ばっちりよ!さっすがユウくん!」
「小春のためや、こんくらいちょろいわ!」
「やだもう!ユウくんったら!」
「俺は小春がいっちゃん好きやねん!」
「……………なぁユウくん、いつまでそうしとんの?」

小春はきっと、初めから全部分かってたんやろなぁ。


「あんた、いつまで自分の気持ちに嘘吐き続けるん?本間はめちゃくちゃ、光が好きなんやろ?」



俺は本間に小春が好きや。でも好きというか、尊敬で。仲間としてパートナーとして誇れる存在っちゅーんかな。ダブルスめっちゃ楽しいし。ウケ狙いで始めたホモネタも今じゃ俺はガチみたいになっとるけど、それも俺らにとっちゃネタの一環、みたいな。

本間はずっと、財前が好きやった。大好きやった。俺のもんにしたかった。好きなタイプ:財前。好きなもの:財前。一番大切にしたい人:財前。生きる原動力:財前。せやけど俺は、財前のために何にも出来ひん。






「先輩ら、キモいっすわ」
財前は本気で言ってないのかもしらんけど俺には結構きつかった。そらそうか。中学生なんみんなが彼女彼女騒いどるときにホモなんキモいよなぁ。そう思って無理矢理自分納得させようとしたのに、こっそり想い続けようとしたのに、なぁ財前。なんでお前が選んだのは謙也なん?謙也やって男やん。俺とお前と一緒の。




「財前、お前謙也と付き合うとんのやろ」
「…そうですけど」
「なんや、お前やってホモやんか」

「……なんて思ってもらっても構へんっすわ。俺はあの人がええんやもん」

俯いてそう言うた財前の耳は真っ赤やった。思わず「まぁおめでとさん。仲良ぉやりや」なんて思ってもないことを言ってしまったけど、財前が「ユウジ先輩、おおきに」って今まで見たこともないような可愛い笑顔で言うもんやから泣きたくなった。







「なぁ小春」
「うん」
「俺が好きなんは、小春や。小春だけ」
「…そうね、おおきに」
変なこと言ってもうたわね、て小春は笑った。小春は前から気付いてたはずや。あえて今日俺に言うてきたのは、二人で水飲みに行ったとき…財前と謙也がキスしてたのを見たから。そんときの俺の顔があまりに酷くてほっとけんかったんやと思う。

いつでも直球でぶつかって気持ち伝えて、あっちゅー間に財前の気持ちをさらってった謙也。俺も、はっきり本間は好きやって言っとったら何か変わっとったんやろか。光、って呼んどったら何か変わっとったんやろか。…それでもきっと財前は謙也を選んだ。そう思わないとやってけんわ。

もう気持ちを伝えることは出来ん。でも忘れられることも出来ん。せやから今日も俺はいろんな人の物真似をする。一氏ユウジを封印する。この気持ちに蓋をする。


(あーあ、恋って儚いなぁ。なーんて)



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