いつかの恋文





忍足謙也先輩


いきなりこんなものを書いてごめんなさい。でもどうしても直接伝えることは難しいので、手紙を書きました。これも渡せるかどうかわかりませんが…。


先輩のこと、ずっと憧れてました。誰にでも優しくて、いつも憎まれ口を叩くことしか出来ない自分にも暖かく接してくれて。いつも、もっと素直になれたら、と自分を殴ってやりたい気持ちになります。


先輩の笑顔は太陽みたいです。パァって明るくて、見てるだけで幸せになれるような。


明るい髪だって本当はすごく大好きで。先輩が走るたびに揺れて、キラキラ反射するんですよ。本当に綺麗なんです。



先輩。本当に本当に大好きです。笑顔も優しさもあったかさも、自分にとって本当に一番大切なんです。本当に本当に大好きです。


これからもずっとそのままでいてくれたらそれだけで幸せです。



















「ラブレターなん久々にもろたわ……」
「名前は?書いて無いんか?」
「おん」
「案外いたずらかもしれへんで〜」
「やだ!すごく一途で素敵じゃない!」
「俺も小春一筋やで!」




白石に何故か「謙也のげたばこにラブレター入っとったで〜」言われて部室で渡された。そしたらユウジに奪われて、名無しなのを良いことにみんなに読まれた。いつもなら止めてくれるはずの白石もニヤニヤしたまんまやし。ってあれ?もしかしてあいつもう読んだとか?ちょぉ待てやー。


ラブレターとかもちろん嬉しいんやけど…まぁ俺には光おるし、な。





ガチャ
「ちーす」
「お、ひかる〜お前危ないで〜」
「は?何がですか」
「光ちゃんに恋のライバル出・現☆ってことよ!」
「はぁ………って……なんであんたが持っとんねん!!!」





光がすごい形相で、今まで聞いたことないようなでかさの声で叫ぶ。そのあと顔真っ赤にして口押さえとったけど。
視線の先には、ラブレター。

白石はニヤニヤしながら「お膳立て、しといたで」って光に言うた。


え、待てよ。俺の解釈が合っとるなら、このラブレターを書いたのは…



半泣きで部室を飛び出した光を追い掛ける。
告白したのは俺からだった。「まぁ、付き合ってあげてもいいですよ」なんて光は言うた。俺はまさかOK貰えると思わんかったからめちゃめちゃ嬉しくて。光に好きになってもらえるように頑張ったんや。

せやけど、これって初めから両思いやったってこと?





やっと追い付いてパシッと光の腕を掴む。顔真っ赤にして泣きそうな顔しとる。



「なぁ光、これ書いてくれたん光やんな?」
「……ごめんなさい、かわええ女子からとかやなくて」
「なんでそんなこと言うん?俺、めっちゃ嬉しかったんやけど」





「………それ、謙也さんと付き合う前に書いたやつで、その…渡すつもり、なかったんです」
「うん」
「キモい思われるの怖くて、そんで、自己満のために書いただけやねん、これ渡せれたら、どんなにええんかなーって」
「うん」
「せやけど結局名前すら書けへんかってん」
「うん」



光は少し泣いてた。「この前みんながうち遊び来たときから、その手紙無くなっとったんです…」って。白石…あいつ悪魔や。




「謙也さん、ごめん、なさい…」
「なんで謝るん?」
「やって…謙也さんに、好きや言われたとき、めっちゃ嬉しかったのに、俺はちゃんと言えんくて。今やって俺からなんて、恥ずかしくてよう言えへんし、」
「なんて?」



「えっと、その…謙也さん、が、好きや、って」
「…………。」
「…謙也さん、すき」
「………光、可愛すぎ」


そのままぎゅーって抱き着いて、くちびるにちゅってキスした。
俺、光が本間に好きや。












財前光様


光くんこんにちは。突然ですがこれはラブレターです。光くんを俺がどんだけ好きか伝えようと思ったので書きます。

光は本当に可愛いです。ふにふにしとって、髪の毛もつやつやで、俺はお前が入学してきたときからずっと気になってました。やってめちゃめちゃ可愛かったからです。口悪いとこも素直やあらへんとこも、可愛すぎてたまらんっちゅー話です。


やから、光は無理しなくてええです。本当に光が伝えたいことだけ言ってくれればええです。お前が俺を大好きやっちゅーのはわかってます。(でも俺のがお前を好きです)

そりゃたまに素直になってくれたら嬉しいけど、そばにおってくれるだけで幸せやから俺は今のままで十分すぎるくらい幸せです。


光、大好きです。これだけはずっと変わらない自信があります。これからも俺はきっと、絶対、お前が好きです。

そのまんまの、可愛い、俺だけの光でおってな。











「謙也さん、何やのこれ」
「お、光んとこにもラブレター来たん?」
「はぁ、まぁ」
「どうやった?」
「…ちょっと泣いた」
「ふは、本間?妬けるわ」
「うっさい黙れ阿保!」




抱き着いてきた光がやっぱり可愛くて。

これからもずっと、今のままの俺と今のままの光でおりたいな。





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