10000回の愛の言葉(一万Hit記念)
(ん…あったかい…)
暑かった夏も少しずつ涼しくなって。日中はまだまだ日差しは強いけど夜になると肌寒い。
暑さにも寒さにも弱い俺の恋人はぐっすり眠ったまま俺に擦り寄ってきた。夢の中でも俺を頼りにしてくれるところが嬉しくって仕方がない。
光と付き合い始めてから俺の生活は変わったと思う。どんなに嫌なことがあっても、最終的には幸せを感じる。それってきっとすごいことなんやろな。
光と付き合い始めて1年と2ヵ月とちょっと。
光のピアスは5個。俺と付き合ってから開けたのは1個。
(もう開けないらしい)
体を重ねた回数は秘密。
俺んちに泊まりに来た回数は60回くらい。
(週末はよう遊びに来る)
甥っ子と3人でのデートは3回くらい。
ユニバには2回行ったかな。
ディズニーにも1回。
今日俺が光に付けた印は6つ。あ、内緒で内股にも1つ。
光が俺の前で泣いたのは5回。
(エッチの時を除く)
喧嘩は2回だけ。
光に囁いた愛の言葉は、
10000回。…いや、それ以上かもしれん。
(光と過ごした時間、プライスレス。なーんて、こんなんCMであったよな、確か)
「謙也、さん、」
「ん?起きてもうた?」
「お水、欲しい、です」
「わかった、ちょっと待ったって」
冷蔵庫からペットボトルを持ってきて光に渡してやる。光は腰を摩って、少し顔をしかめて起き上がってそれを受け取る。キャップが開けれんかったみたいで代わりに開けてやった(寝起きのこいつってほんっとに可愛い)。
コクコクと水を一気に飲んで口の端から水を垂らす光。え、えろ…!
目が合うと光はふにゃりと笑ってペットボトルを俺に押し付けて
「けんやさん、だいすき」
そう呟いてまたベッドにダイブした。
「っ、今のは反則やろ…」
俺から光への愛の言葉が仮に10000回やとしよう。光はそれの半分、4分の1、いや10分の1、もしくは100分の1くらいしか伝えてこぉへんかもしれん。でもそれでええねん。髪を撫でるとふるる、ってなるまつげとか、好きやって言うと赤くなる頬とか。触るとびくって目をつむったり、抱きしめたとき小さく震えたりするのも全部、光から俺への愛やから。
やから、俺は光の代わりに何万回でも伝え続けるからな。
(10000回の愛の言葉を、君に。)
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