けんにゃさんの考察。





「謙也さんの考察。」の続きです




我輩は猫である。名乗る名も無い薄汚れた野良猫にゃ。でも最近、名前が出来た。

「けんにゃさんっ!牛乳持ってきたったで!!」

こいつはひかる。中々の美少年。俺は野良猫やけど、心の中ではこいつを飼い主やと思っとる。ひかるは優しい。警戒心いっぱいの俺が引っ掻いても噛み付いても俺のこと見捨てなかった。本間はひかるに飼って欲しかった。やけど「うちで飼ってやれんでごめんな」って言うてくれたのも牛乳をくれるのも嬉しかったからいいにゃ。にゃん。

ただな、ひかる。ネーミングセンス無いで。


「光、けんにゃさん元気しとる?」
「あ、謙也さん」

この阿保っぽい金髪はけんやさん。そして俺はけんにゃさん。俺の名前の由来はどうもこの人らしい。なんだか不愉快にゃ。

ひかるはけんやさんが好きみたいにゃ。俺はしたこと無いけど、これが噂に聞く恋とゆーやつ。俺には丸分かりやど。けんやさんとおるときのひかるはほっぺをピンクにしていつもより嬉しそう。俺を撫でてはいるけどチラチラけんやさんのことばっか見よる。

あー悔しい!なんとなく寂しい!けんやさんの馬鹿!!…まぁ今日はツナ缶を分けてくれたから仕方なく許してやる。にゃん。



ある日俺がいつものように昼寝をしとったらひかるが来て、けんやさんが来て。二人はきっすを始めた。にゃ、にゃんだとう?!

舌をぴちゃぴちゃさせて、ひかるはけんやさんに支えられとって。ひかるはけんやさんがすごく好きやって言っとった。

「ぁっ、ん…けん、や、さん…ふぁ、け、けんにゃさんが、見とる…」
「俺は光しか見えんもん」


けんやさんはやっぱし馬鹿にゃ!!安眠妨害!!!俺の可愛いひかるを…!しばらくは肉球やって触らせてやらん!







次の日、昼寝をしとる俺んとこにけんやさんは一人で現れた。

「けんにゃさん、昨日は、その…寝とる時ごめんな」
全くだ、お前なんか嫌いにゃ

「俺なぁ、光のことむっちゃ好きやねん。」
………ふーん

「でもけんにゃさんも好き」
……………。

「俺、ひかるもけんにゃさんも可愛くてしゃーないねん。これからは俺らが大事にしたるから、たまには俺の話聞いてな」



これからはけんやさんとも、仲良くしてやらんことも無い。言っとくけどパン分けてくれたから良しとしてやっただけやからにゃ!


嫌がられて、捨てられて。人間なんて大嫌いやったけど、たまにはええやつも居る。

まだまだ猫ライフも捨てたもんやないにゃ!



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