謙也さんの考察。





「にゃ〜ん」

忘れ物したから教室取りに行って、光は外で待ってくれてて。
急いで帰って来たら、光が猫と戯れとった。薄い茶色のかわいらしい猫。
ねこじゃらしを振り回しながらにゃーにゃー言っとる光は可愛すぎる…!

「ひ、光」
「しっ、謙也さん静かにして下さい!俺は今集中している!」

光は恥ずかしがる事なく猫を構い続ける(「集中している!」ってなんやねん)。あーかわええ。たまらん。


ついにその猫は光の手に擦りよってきて。光は抱っこすることに成功した。ほっぺの筋肉ユルッユルにして猫ぎゅーってして顔埋めて「やばい、かわえぇ…」て。…可愛いのはお前やっちゅー話や!


「そいつ、野良?」
「多分。よくこの辺で見るんすわ。やっと触れた、やった」
光はこれからたまに牛乳とかパンとか分けたるで〜て猫に話しかけとる。

「そや、名前付けへんでええんか?」
「もう付けた」
「何?」
「『けんにゃさん』や」
「は?」
「薄い茶色で、目がくりくりしとって可愛いくて、謙也さんみたいやから『けんにゃさん』」


しばらくたった後、可愛い可愛い光に悶えそうになるのを押さえながらけんにゃさん(なんか言うの照れるわ…)に別れを告げた。




「光猫好きやねんなー」
「うん、めっちゃ好き、俺やっぱ黒猫が一番好きやな」
「そうなん?」
「まずな、魔女の宅急便のジジがむっちゃかわええやろ、」
「(キュン…!)」
「バンプの『K』っちゅー曲に黒猫出てくるんやけど、めっちゃえぇ曲やねん。初めて聞いたときさぶいぼ立ったし」
「あ、知っとる。俺もそれはめちゃ好きやわ」


「あとな、黒猫って不吉言われとるやんか。そんなわけないねん。俺は幸せになるし、そこがなんかまた可哀相で可愛い、みたいな」


生き生きと猫論を語っとった光は途中で我に帰り少し赤くなって「まぁ、別に普通ですけどね、」なんて。今更遅いっちゅーねん。


「あー、俺も黒猫好きかもしれん」
「本間?」
「おん。やって光黒猫みたいやし」

頭を撫でると少しはにかんで笑った光をぎゅーってして、心の中でけんにゃさんに感謝した。


光はきっと猫になってもかわええけど、やっぱちゅーもぎゅーもしたいから人間がええかな。光に猫耳生えてこれば一番ええんやけど。なーんて。



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