0911(ユウ誕)





「ユウジ先輩は俺のこと好きですか?」
なんて、好きで好きでしゃーない恋人に言われても、俺は素直に好きやとは言ってやれん。
改めて聞かれるとむっちゃはずくなって意地悪いこと言うてしもた。

「先輩の性格分かっとるつもりですけど、俺、たまに不安になりますわ」
って言われてすっごい後悔したんやけどな、性格はどうも簡単には変えられんらしい。

こんな俺でも、もうすぐ15になります。





光は、俺とおって幸せなんかな。小春とのアレもネタやって分かっとってもそりゃ良い気はせんやろうし、俺が素直になれる予定も無いし。背やって1センチ高いだけやしな。もっと光が求めるような人は他におるんちゃうか。例えば謙也とか。…あかん、リアルすぎて笑えんわ。


光も人に気持ちを伝えるのは苦手な部類なはずやけど、俺のために一生懸命変わろうとしとるのが見て分かった。
「ユウジ先輩の誕生日は2人でお祝いしたいです」
この言葉をどんな気持ちで俺に伝えてくれたんやろか。


…あぁもう!なんやモヤッモヤするわ!!


俺はチャリンコで家を飛び出してスーパーに走った。(もちろんエコバックと一緒にな。俺ってば出来る男や!)卵やら苺やらなんやら買って急いで帰って。それで、ケーキを作った。手先は器用やしな!……え?自分用のバースデーケーキですけど何か問題でも?え?甘いものですか?別に特別好きではないですが何か問題でも?
え?自分の誕生日なのに恋人のためにケーキを作るなんて馬鹿らしい?勝手に言ってろ、俺はあいつの笑顔が好きや。




結局自分の誕生日に自分へでっかいバースデーケーキを作った俺は、それを丁寧に箱に入れて、んでチャリンコのかごにぶち込んで、光んちに走った。今日ならスピードスターの速さやって真似できそう。はよ会いたい。





ガチャ
「ユウジ、先輩…」
「おら、ケーキじゃケーキ。一緒に食え」
「わ、ユウジ先輩のケーキむっちゃ好き。……やなくて、どないしたん?」
「お前には俺の誕生日祝う義務があるやろ。黙ってこれを食え」
「今日10日ですけど。1日早いやん」
「……」

あぁなんでこいつこんな冷静やねん。俺ら一応険悪なムード出しとったやんか。まぁ確かに1日フライングしたけども。


「ちょ、何お前家ん中帰ろうとしとんねん」
「何って、荷物取りに」
「荷物?」
「うん。ユウジ先輩んちに泊まりに行くための、荷物」
「は」
「俺は一番にあんたを祝う義務があるんやろ」
「…一番なんて言うてへんし」
「はいはい、ちょっと待っとってくださいね」



ケーキは前かごに入れたまんまで、後ろに光乗っけて、俺はまたチャリンコ漕ぐ。でも今度はゆっくりな。






「ユウジ先輩、ケーキ食べたい」
「お前なぁ…うちついて早々それかい」
「食べたい」
「あーはいはい!」


俺はすっかり忘れとった。箱を開けんかったらよかった。ケーキの真ん中にはチョコペンで、
「ひかる大スキ」
やもん。



「…ユウジ先輩、」
「ち、違うねん!これは、その…」
「へーえ。ひかる大スキかぁー。写メったろー」
「も、元はと言えばお前が拗ねるからや!やからわざわざ書いてやっただけやし!」
「はは、これバースデーケーキちゃうやん。せやけどむっちゃ嬉しい」


俺からの誕生日プレゼントは日付変わったら渡しますね、なんて言うとるけど、もう貰ったで。
お前からの笑顔が一番のプレゼントやしな。

「ひかる、」
「なんですか」
「…すき」
「誕生日おめでとうございます。先輩ちょっとだけ大人になりましたね」
「こら、どーゆう意味や」
「……俺も好きっちゅーことですわ」


来年も再来年も、お前は俺の誕生日祝わなあかんねんぞ。俺はもうちょっと大人になるように努力するから、お前はずっと可愛いまんまでおってくれや。



HAPPY BIRTHDAY! YUJI



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