君に溶ける






軽い。軽すぎる。
こいつちゃんと飯食っとるんやろか。


光が倒れた(まぁ倒れたというよりは、ボール追いかけとってそのまま突っ込んだって感じ)。とりあえず一人で歩けそうになさそうやったから俺は光をおぶって保健室に向かう。いつもやったら「はよ下ろしてください!謙也さんってほんま恥ずかしい人や」とか言うはずやけど何も言わずに縋るようにしがみついてくる辺りから相当しんどいんやろなって思った。

…にしても、熱い。
光が触れとるとこが、熱い。あ、そういえばテニスしとったから俺汗だくやん。嫌やないやろか。
この熱さは、なんや、その…せっくすしとるときとおんなじくらいあっつい。

普段低体温の光はせっくすの時尋常じゃないくらい熱くなる。頬を紅潮させ、ほてった体をよがらせ、甘い声で啼く。長い睫毛をふるふると震わせて俺の名前を呼ぶ。

(ぁ、け、やさ…んぅ、は、…っ)
(や、…ぁ、す、きや…け、やさん、すき…!)

なんや思い出したら勃ちそ。光が苦しんどるのに最悪や、俺!
にしても入れられる方ってあんなに乱れるもんなんか。今度千歳に聞いてみよ、お宅の白石くんはどうですか、ってな。


俺はてっきり熱でもあるんかと思っとったけど保健室の先生によるとどうやら光は熱中症らしい。あと軽い貧血やって。ベットに力無く寝かされた光の額に氷を押し当てる。
「ん…けんやさん、」
「光、大丈夫か?」
「なんや、くらくらする、」

お前どうせまたちゃんと飯食っとらんのやろ(光は夏が苦手でろくに飯食べへんようになる。倒れたのやって今回が初めてやない)って言って氷ちょっとどけて、汗で張り付いた前髪をすいてやる。気持ち良さそうに目を細めた光が愛おしくて、失いたくないって思った。

「あんな、俺めっちゃ心配しとんねんぞ」
「わー。愛やな、愛」
「いや、真面目に。お前が突っ込んだまま起きへんかって心臓潰れるか思たわ。せやからちゃんと飯食って。水分採って。心配させんといてや」
「…すんません」


光がちょっとしゅんてしてまったから可哀相になって、まぁ愛や、愛。なんて言うた。したら光は今まで俺が光の額に当てとった氷を俺の手からもぎ取った。

「ちょ、お前何すんね、…ぶっ」

それを無理矢理唇にガンガン押し付けられて。いいい痛い。つつつ冷たい。離されたあとすぐまたなんか押し付けられた。それは光の唇で。

「ひ、ひか」
「夏バテには冷たいもんがいいんでしょ。なんや今の気持ちかった、嵌まりそうっすわ」
「お前なぁ…!」
「なぁ謙也さん、好きですよって」


心配かけて勘忍っすわ、てちょっと照れながら言うた光に今度は俺からキス、次は舌も絡めて。
…なんや、やっぱり熱い。でも気持ちいのには変わりなかった。







「光、今日うち来い。んで一緒飯食お」
「…………はい」
しっかりしてくれや。お前がおらんくて生きていかれへんのは実際俺なんやから。



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