ごめんね、素直じゃなくって(ユウ光)





「なんでそこまでユウジ先輩に言われなあかんのですか!」
「うっさいわ!財前の阿保!もう知らん、お前本間うざい!しばらく話しかけんなや!」


最初はちっちゃな言い合いやった。「最近謙也と仲ええやん?」て聞いたら財前はニタニタしながら「なんや、嫉妬ですか?」とか言ってきよった。俺は結構本気で悩んどったっちゅーのに。気付いたら心にも無い酷いことをいっぱい言っとった。そんで最終的には言い合い。

話さなくなって2週間。なんやかんや言ってまったけまど原因は俺にあると思う。謙也から「光な、ユウジと小春にやきもち妬いとったで。もうちょっと気にしてやりや」なんてことも聞いて反省もしとる。でも生憎俺は素直やない。そんで財前も素直とは言い難い性格しとる。やって俺、財前に謝れるんか?笑えるやん。あーどないしよ。


「財前、ごめんな…本間勘忍…………あーやっぱ無理っ」
部室でぶつぶつ練習してみたんやけど、やっぱり駄目やわ。財前謝ってこぉへんかな。いや、それは無いわ。今回は俺が悪いし。もーええわ、今日は小春とダブルスや!部活終わってから考えよ。

とか思っとったらテニスコートの方から悲鳴。あとは馬鹿でかい謙也の「大丈夫か光?!」っちゅー声を聞いて俺は気がついたら部室から飛び出しとった。財前はテニスコートで倒れとった。謙也が呼びかけとるけど返事はない。


「謙也ぁ!!財前、どうしたっ!!」
「あ、ユウジ!光なぁ、1年のサーブ練習しとるボールが脳天当たってまって…なぁ白石」
「おん、多分脳震盪やな…なんかあったら敵わん、銀!保健室連れてってやってや!」
「待った待った!俺、連れてくから!」



身長もほとんど変わらん財前を無理矢理おんぶして保健室に向かった。いつも冷たい体は直前までテニスしとったからか熱い。

先生おらんかったからベットに寝かせて適当に氷枕探して使った。汗で張り付いた前髪をすいてやる。こうやって向かい合ったのは久しぶりかもしれん。大好きな、俺の恋人。綺麗な顔しとるよなぁ。俺はいつもいろんな暴言吐いて、どんだけこいつをを傷付けとるんやろか。




「ん……ユウジ、先輩?」
「財前……」
「ユウジ先輩、俺…?あぁ、そうや。ボール当、たって」


「財前、ごめん。本間に悪かった。俺がガキやった。お前があまりにも謙也と仲ええから嫉妬した。俺も小春と一緒におるから人のこと言えんのに酷いこと仰山言うた。いつも俺はそうや。お前のこと本間に好きなのに素直になれんで嫌なことばっか言いよる。…本間に、ごめん」

財前と目あったら思っとったことがどばーって溢れてきた。財前は優しく笑って頭押さえながら起き上がった。んで、俺に抱き着いてきた。

「素直になれんのはお互い様でしょ。…もうええですよ、怒っとらんです。そんな悲しそうな顔せんで」
「…財前、」
「光」
「…ざいぜ」
「ひ か る」
「……光」
「はい」
「むっちゃ好きや」
「俺もです、ユウジ先輩」

あーあ、もっと早く謝ればよかったわ。そしたら「ごめん」の一言で済んだし余計なこと言わんでよかったのに。でも財前嬉しそうやしええか。

「財前…お前寝る気やろ」
「なんや…ユウジ先輩の心臓の音聴いとったら眠くなってきた」
「ちょ、おま(かわえええええ!なんやこいつ)」
「それにあんたのこと考えて最近よう寝られんかったんです。ちょっと寝かせてください」
「…まぁ、しゃーないっすわ」
「似とらんし」


眠りに落ちる寸前、財前がふにゃりと笑って「ユウジさん、大好き」なんて言うから頬の筋肉が緩んだ。まぁ誰も見とらんからよしとしよう。

今日は善哉でも奢ってやろうかな、なんて思いながら財前の額に口づけをした。



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