彼は愛され上手





・情事後のお話








家族みんな家におらんくて光が俺んちに泊まりに来るなんてめちゃめちゃ久しぶりで。光は可愛くてたまらんし、求めまくってしまった。

そしたら、これだ。受け入れる側の光にはかなり無理をさせてまった。光はハァハァと呼吸を繰り返すばかりで、俯せになったまま動かなかった。白い肌には俺が付けた印がいくつか。光の尻から流れる俺の欲が罪悪感を更に煽る。

ゴム、買っとけばよかった。無いって気付いた時点で一時中断して買いに行くことだってできたし、その前にこんなぐちゃぐちゃになる手前で我慢すればよかった。

「ひかる、シャワー浴び行こ、洗ったるから」
「…無理、すわ……動けん…」
光は声もがらがらに掠れていて、俺の胸はまた痛む。

「連れてったるから。お腹痛くなってまうよ」
「ちょっとくらい痛なっても、我慢しますから…」
「光、お願い」
「謙也さん行ってきてえぇですよ」
「ひかる、」
「……本間しんどいんで、勘弁してください…」


「そっか、ごめんな」て言うて部屋の外に出た。やからってシャワー浴びるわけやなく、廊下にしゃがみ込むことくらいしか出来ん。光が辛そうやと俺まで辛くなる。光のこともっと考えてやればよかった。どこまでも本能に忠実な自分が嫌になる。

っ、痛…。ふと背中に痛みを感じた。触ってみると血が出てて、光が爪で引っ掻いた跡やってわかった。

光はなんやかんや優しい。いつも「しがみついてええよ、爪立ててええよ」て言うても「謙也くん痛いやろ」って背中に手を回し優しく握りこぶしを作る。唇を血が出るくらい噛み締めるから「噛んでええよ」て俺の指を口に入れてやると自分はよだれだらけになってまうのに、なるべく歯が当たらんようにする。全部全部俺を傷つけんため。

そんな光が今日は俺の背中に傷痕を残した(俺は別にええんやけど)。そんなに光を追い詰めてまったことに本間に申し訳なくなる。


「…ひかる、ごめんなぁ」
「別に怒っとらんです」
「わっ!!」


光は本間は体動かすのも怠いはずやのに、「もう、あんたって人は」なんて言いながら四つん這いなって這って俺んとこまで来よった。

「ひか、ベット戻ろ」
「俺、気持ち良かった。めちゃめちゃ幸せやった。せやから謙也さんは何にも悪いことしとらんのです。泣きそうな顔せんくてもえぇんですよ」
「…うん、」
「確かに腹は痛くなるし腰は怠いけど、それも俺が望んだことや。あんたはそんな阿保なこと考えとらんと俺のことばっかり考えとけばえぇんです」

「…ひかる、すき」
「俺も謙也さん好きです」


それでも明日光が痛い思いするのは嫌やから頼みこんで一緒に風呂行って洗ってやって。抱っこしてベット戻って一緒に寝て腰摩ってやった。


「謙也さん。俺、謙也さんの情けないとこも全部好きっすわ。せやからどこも直さんでえぇよ」

とろんとした目でそう言うと光はそのまま眠ってしまった。

(あぁ、本間にむっちゃ好きや)

光の瞼にキスをして、俺も光の後を追う。夢でも君に会えますように。



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