本音と建前2(ちとくら)





・本音と建前(謙光)と設定は同じですが、お話自体は繋がってませんのでこれだけでも読めます



「はーあ、酔った」
さっきまで顔色ひとつ変えず中学生とは思えない雰囲気を醸し出しながら酒(しかも芋焼酎)を呑んでいた千歳にも酔いが回ってきたらしい。
ちなみに俺は全然酔っとらん。てかほとんど呑んどらん、健康に悪いし。たまには素直に千歳に甘えたかったから、酔ったふりした。

「白石〜大丈夫と?」
「大丈夫やし〜。なぁ千歳〜え、好きやで〜」
「はは、白石かわいか、俺も好いとるけんね」
普段はあんまり言ってやれん言葉を造った自分で伝える。


「白石〜」
「ん、」
「もう眠かと?」
「んぅ…」
「一緒に寝るたい」


俺は千歳に抱き抱えられて布団に連れてかれ、二人で潜り込んだ。千歳のにおいで、いっぱい。今だけは俺のもの。

「白石寝た?」
「………………」
「ははは、早い。











……………はぁ、桔平に会いたか」



今だけは、俺の。

「目ば治らんくっても、俺は桔平が元気でテニスしてくれればいいたい、桔平、会いたい。もうちっと我が儘言うと、また一緒にテニスしたか」
俺が寝とると思っとんのやろ。いや、寝たふりしとるけどな。千歳は話し続ける。

「東京行きたい、桔平に会いたい。でも九州にも帰りたか。ミユキと遊んで、おかあの飯食って」

橘くんの存在は、千歳の中であまりにもでかい。目を怪我させられたからなんて醜い感情なんかやない。千歳は心から橘くんが好きや。友情とか愛情とかじゃ分類なん出来んくらい、大切に思っとる。

「桔平、好き」

あぁ。俺はいつまで千歳の傍におれるんやろか。



「ばってん、白石はもっと好きばい」
思わず驚いて目を見開いてしもた。


「やっぱり寝たふりだったばいね。白石は酔ったふりも下手っぴたい」
「ち、とせ…お前、気付いて…」
「何を心配しとるかわからんっちゃけど、俺は一番白石が好きたい。白石が思ったこと俺に言って欲しか」


桔平も大好きばい、でも俺達はずっと親友たい。試すような真似して悪かったっちゃね、て言って千歳は笑った。

俺はいつだって完璧を目指すけど、千歳の行動はいつでも無駄が目立つ。ふらふらしよったり、途中で退部しようとしたりな(退部なんてさせたるわけないのに)。俺も千歳に感化されてきたかもしれん。こんな無駄な心配して、無駄な演技するなんてな。しかも気付かれてたっちゅーのがはずい。


「千歳、ここまでばれとるならしゃーないから単刀直入に、無駄なこと省いて言わせてもらうわ。俺が思ったこと言う」
「おん」
「俺から離れんな。あと橘くんの話は俺の前で二度とすんな。ついでに言っとく、放課後空き地の猫見に行くのに財前誘うのやめろ、俺でええやろ。金ちゃんとあんまベタベタすんな。謙也とよぉ寄り道しとんのも気に食わん…俺以外見んな」
「はは、了解」


白石は随分ヤキモチ妬きさんたいね、て瞼にキスをしてくる千歳。じれったくなって苛々したから千歳の唇におもいっきり噛み付いてやった。
もうこれからは千歳が困ったって知らん、変な演技もせえへんし我が儘やって言うたるからな。


「千歳、千歳がむっちゃくちゃ好き。なぁ、今日は俺が上がええ」
「…その我が儘はちょっと聞いてやれんばい…」


あ、それと橘くんにミユキちゃん。勘忍な。千歳、大阪永住することになるかもしれへんで!



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