世界一幸せな月曜日の朝の話





バレンタイン2011!
大学生設定です!








「光、寝よ」
「あー…ブログ更新せなあかんし先寝とってください」
「ん、わかった。なるべくはよ終わらせなあかんで」
「はぁい」



俺の大学生進学を期に謙也さんと一緒に住みはじめて一年弱。ドキドキしたり安心したり、居心地のよさは半端なくてしゃーない。俺たちのこのアパートの一室には、どんなお城よりもたくさんの幸せがつまっている。


ブログを書きながらふと思い出す。あぁ、そういえば明日はバレンタインデーや。謙也さん、他の女の子たちからチョコいっぱい貰うんかな。嫌やな。せやけどあの人きっと「光が好きなだけ食べてええよ」なんて女の子たちからしたら失礼極まりないこと言いよるんやろな。それで俺が優越感を感じたりするのは毎年のこと。


明日はチョコレートケーキでも作ってやるか。あの人俺が何もせぇへんかったら拗ねるし。って子供か。ホワイトデーは新しいヘッドフォンねだってやる。





「ん?なんやこれ」


広告の裏に謙也さんの字でたくさんの殴り書き。「太陽、女神、生命力、宝物、酸素」などと書かれていて、「天使」に丸がついていた。
…怖。あの人なんか宗教とかやってへんやろな。まぁええわ、明日聞いてみよ。









「んぅ…ひかるぅ…」
「おじゃましまーす」
「ん〜ひかる〜すきやで〜」


謙也さんが先に寝とるベッドに俺も潜り込む。あーあったかい。一人で寝とったときは冷たい布団で熱が集まるまでしばらく身動き出来ひんかったけど、謙也さんと一緒に暮らしてからというもの毎日ぬくぬくや。むにゃむにゃ寝ぼけながら謙也さんに抱きしめられると俺も一気に眠気が押し寄せてくる。


「謙也さん、おやすみ」


まどろんでくる意識に身を委ね、そっと目を閉じた。














次の日の朝。

いつもは謙也さんに起こされんと起きれへん俺やけど、その日は自然に目が覚めた。謙也さんは俺に優しく微笑んで、軽くちゅうした。


「光、おはよ」
「おはようございます」



寝ぼけまなこで謙也さんのキスを受け入れて、ふと気づく。枕元に箱がふたつ。謙也さんはにやにやしながらそれを開けてほしそーな顔した。


(枕元にプレゼントって…クリスマスとごっちゃになっとるやんけ)


「これ…俺へ、すか」
「お、おん!」
「開けてええっすか」
「もちろんやで!」



大きい方の包装紙を開けると、俺が狙っとったヘッドフォン。うわー…素直に嬉しい。謙也さん知ってたんや。


「謙也さん…これ…」
「光、欲しがっとったやろ?」
「うん。ありがとぉ。めっちゃ嬉しい…」
「わ…!ちょ、光!もう一個もあけて!」


せっかく胸に擦り寄ったのにそう言われて引きはがされてむかっとした。せやけどそのあとに「光が可愛すぎて我慢出来ひんから、早く開けて!そんでちゅうしよ!」とか可愛すぎる発言で苛々なんて吹っ飛んだ。もうひとつの箱も開ける。


俺でも聞いたことのある有名な銘柄の名前が印刷された箱の中身は、綺麗な、宝石みたいなチョコレート。



「すごい…」
「ひ、光あんな、えっと…」
「なに?謙也さん」



「光、いつもありがとう!光は、光は俺の天使や!!」





え、ちょぉ待て。これって、昨日見つけたあのメモの…



「ぶっ!あははははははは!ははっ、ふははは!」
「え、ひ、光?」
「謙也さん、俺『太陽』のがよかったと思いますわ」
「え、え?」
「あ、『酸素』も捨て難いなぁ」
「ちょ、なんで知っとん!」
「あ、やば、これホンマツボや…あははははは!」
「もう!なんやねん!はずっ!もうやめてや!!」



こんなにおかしくてかっこよくて俺のこと大切にしてくれる人、謙也さん以外おらんのちゃうかなぁ。



「謙也さん、俺もあとでちゃんと作ってあげますからね」
「おん…それは嬉しいねんけど、それより今は光くんが欲しいなーって」
「断る」
「え?!なんで?!」
「天使は性行為禁止でーす」
「だぁぁもうやめてや!!」



バレンタインなんてくそくらえって思っとったけど、こんな幸せな気分になれるなら悪いもんやないなぁ。


とりあえず、目の前にいる彼にキスを贈ろう。彼を幸せにするのは俺の使命やから。何てったって、天使やからな!
なんちゃって!



Happy Valentine…☆





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