きみはずるい(謙光前提光←蔵)




※白石が自慰してます






















「っは、…ふ、ぅん…っ」


全国出場したテニス部の部長、しかも2年のときから。自分で言うのもなんやけど顔もええし、勉強やって出来る。こんな完璧人間おらんやろ。せやから俺は昔から女にようモテた。

でもな、俺やって人間やし性欲くらいある。ひとりえっちもする。俺のこと好きな女の子たちもそんくらいは許してほしいわ。


「ふ、っ…ぁ、はぁ…っ」


でもオカズにしとんのが同じ部活の後輩の男やなんて、どんだけ俺のこと好きでもさすがにこれは許せんやろな。


みんなは俺がなんでも持っとる奴や思っとる。せやけど実際、一番欲しいものは手に入らんねんなぁ、多分一生。
俺は財前が好きや。謙也のことがめっちゃ好きな財前が好きや。謙也も財前のことめっちゃ好きで俺の入る余地なんてなかった。


「なぁ、白石…。俺、光が好きやねん」
こんなこと相談出来んのお前しかおらんねん、本間勘忍…なんて言われたから、本間のことも言えず、断ることも出来ず、相談役になるしかなかった。
やってしゃーないやん。俺今まで完璧すぎるからとか意味分からん理由で一歩引いた目で見られとった。上っ面だけで本間に信じれる奴なんおらんかったんやもん。…謙也は俺にとって初めて出来た本間の友達、親友やった。




「白石、俺、告ろう思ってん、光に」
「本間か!頑張りや!」
(やめてくれ、まだ、言わんでや)


「白石!光も、光も俺のこと好きやったんやって!あー俺やばい!白石、本間おおきに!」
「おぉ、よかったなぁ。仲良ぉしろや、上手くいかんよぉになったら俺が財前とってまうで」
「ちょ、冗談きついわ!」
(冗談ちゃうわ。あー、思ったより堪えるな、俺そんな財前のこと好きやったんかな。)


「白石…どうしよう俺、光と手繋いでまった…!」
「お前、手繋いだくらいで騒ぎすぎやろー」
(本間はむちゃくちゃ羨ましい)


「ししし白石…!ひひひ光ときききキスしてもうたぁあぁあ!」
「はは、吃りすぎやろ」
(嫉妬で頭おかしくなりそう)


「白石…」
「なんや、また財前のことやろ?今日えらい大人しいやん。どうした、喧嘩でもしたんか?」
「光と、えっち、した」
「………………」
「あかん俺、頭沸いとる…むっちゃ幸せ」
「…よかったなぁ、おめでとさん」
(いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だ、痛い、心が、いたい)



なんで俺じゃ無いんやろか。俺は財前の憧れであり、目標であり。やけど財前のベクトルが俺に向く日は来んくて、俺が財前に思いを伝えられる日も来んくて、俺が謙也を嫌いになれる日も来ん。いつでも自分に正直に生きれる謙也はずるい、なかなか忘れさせてくれへん財前もずるい。あぁもう、しんどいなぁ。


なんや俺らしくも無い、涙出て来た。
どうしようもなくなった俺は何も考えたくなくて、もう一度自身を強く握る。財前のことを考えながら行為に没頭する。

「は、ぁ…んぅ、ざいぜん、好きや…好き、本間に好き…っ、や」

誰も傷つけんから、二人の邪魔も絶対せぇへんから、ずっとえぇ親友でおるから、ずっと完璧な部長でおるから、やから。こっそり想い続けることくらいはどうか、許してくれ。

…一番ずっこいのは、自分の気持ちから逃げとる俺かも、なぁ。



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