4.やっと素直になれたからで、
僕が君の手を、
握り返したのは、
やっと素直になれたからで。
謙也さんは俺を本間に大事にしてくれる。俺がよぉ素直になれへんのも承知の上で一緒におってくれる。頭を撫でて可愛いって言ってぎゅうってしてくれる。キスはしてくれへんけど、それは俺にも原因があんねんな。
実は一回そーゆう雰囲気になったことあるんや。でも俺はえらい緊張してまって、多分顔まっかっかで目ぇぎゅーってつむって、体も震えて、そしたら謙也さんは頭撫でてくれただけやった。また気を遣わせてしもた。
俺は変わる。謙也さんのために変わる。素直になる。たまには、気持ちやって伝えたい。
せやから、今日は俺が迎えに行く。
「謙也ぁー」
「なん?」
「あれ、校門とこ。財前ちゃう?」
「はぁぁあぁあぁ?!」
大人っぽい人らがようさんおる。チラチラ見られて「中学生や、かわえー」なんて言われて頬が熱くなる。謙也さん、まだかなぁ。
「ひかる!!」
「謙也さん」
「お前どうしたん?!」
「…たまには俺が迎えに行こう思ったんです」
やっと来た謙也さんは少し息切れしとった。…迷惑やったかな。
「………あかん」
「…すみません」
「あかん、めっちゃかわええ」
え、って思う前に俺の手をひっぱって走り出す。走って走って、たどり着いたのは帰りによぅ公園やった。そこに着く頃に俺の息はすっかりあがっとった。
「けん、や、さん?」
ぎゅーってされて、謙也さんの心臓が今まで聞いたことないくらいばっくばっく言うとるのが聞こえてきて、なんや嬉しかった。
「あー…やばいわ」
「……俺、迷惑でした?」
「阿保!迷惑な訳あるか!…本間嬉しい、光から俺のとこ来てくれるなんて。可愛すぎるわお前、嬉しくておかしなりそーやわ」
謙也さんはやっぱりすごいと思う。自分が思ったことをこんなにも真っ直ぐ伝えられて。でもそれに甘えてばっかじゃ、あかんねん…!
「謙也さん。俺、わざわざ謙也さん迎えに行ってやったんですよ」
「おー、そやなぁ。本間嬉しいで」
「……お、俺…えぇ子ですよね?」
「おん、光は本間えぇ子やわ!」
「じ、じゃあ、ごほうび、ください」
「ふぇ?」
「キス、してください」
言ったあと恥ずかしなって目ぎゅーってつむった。せやけどけんやさんが反応してくれへんから不安なって、目開けたら、切羽詰まった謙也さんの顔が目の前にあって。
続いて来るのは、柔らかなくちびる。
「はぁ、本間可愛い、光…なぁ、もっと欲しい」
「…どーぞ」
それから触れるだけのキスを繰り返して、そのあと舌が入ってきて、口ん中謙也さんの熱い舌でいっぱい。
べろんべろんに舐められて、やっと口が離れた時は目の前がちかちかした。力入らんくなった俺を謙也さんは優しく抱きしめてくれる。
「光、可愛い。めっちゃめちゃ可愛すぎる。ずっと一緒おってな?これからもいっぱいキスさせて?」
こんなにもかっこいい謙也さんの笑顔が見れるんなら、頑張って素直になりたいな。
謙也さん、大好き。
お題提供:「確かに恋だった」さま
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