5.きみが愛しいと気づいたから
僕が君の手を、
握り返したのは、
きみが愛しいと気づいたから。
「ひかる、大丈夫か?」
「………は、い…」
光と俺の関係はすこぶる良好で、毎日仲良うやっとる。光は確かに素直やないけど、最近は「光、好きやで。なぁ光は?」って言うと「俺、も…で、す。」って顔真っ赤にして言いよるねん!めっちゃかわええやろ!あの日から、キスやってもういっぱいした。その度顔とろっとろにさせて、本間たまらんわ。
俺は光のこと大事に大事にしたいし、そりゃいつかは抱きたいとも思う。せやけど光は純情であり極度の恥ずかしがりやから理性フル動員で我慢や。……って思っとったのに。
おかんもおとんも病院で留守やから、今日は光がうち泊まり来た。やからって俺は光に手ぇ出す気は全くなかった。ただ抱きしめて一緒のベットで寝れたら幸せやなぁーなんて考えとったくらい。
いつものようにちゅっちゅしとったらいつもの如く真っ赤でとろんとろんの顔した光がさらに顔赤くして言うた。
「謙也さん、もう…我慢、してくれんくて、ええ、ですよ」
「へ?」
「……シ、て、く…ださ、い…」
あかん!!こんなん我慢しろ言う方が無理やっちゅー話や!!…光の肩に手を置いてみる。
光はそれだけで「…ぁ、う…」なんて言うて。エロいです非常に。
でもあかん。光の体は心配なるくらいガタガタ震えとって目はぎゅーーって固く閉じられとる。こんな状態の光に何か出来るわけないやろ。
「光、無理せんくてええ。今日はやめにしよな」
安心させるためにぎゅって抱きしめて背中摩る。光の心臓は本当に壊れてまうんやないかってくらいばっくんばっくん言っとる。
「や、大丈夫…です」
「あかん。まだ怖いやろ?しんどいのは光やで?」
「……。」
「そりゃ俺もいつかは光のこと抱きたいけど…もうちょっと先でええわ。な?」
「……、いやや」
「え」
「…俺は!いつも素直になられへんから!」
「ひ、ひかるちゃん?」
「可愛ないことしか言えへんし!優しくもないし!謙也さんには、貰ってばっかやねん!」
「光……」
「俺だって!俺だって謙也さんのこと!」
「………」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で光は言うてくれた。
「好きで好きで死にそうなんです」
そのあとは優しく優しく光を抱いた。優しく、本当に優しく、甘ったるいくらいに。緊張と快感のせいで今にも落っこちそうな光の意識を引き上げてはキスをして。
イったあと光はかくんって寝てまったから、後片付けしたあと俺も一緒にベットに入る。可愛い。本当に可愛い。
光はたくさんいいとこ持ってる。実は優しいとこや、努力家なとこ、かわええとこ…俺は全部好き。今までは可愛い可愛いばっかやったけど、今日でまた新しく気付いた感情がある。
それは、俺は光が愛しくて仕方ないっちゅーこと。大事で仕方ないっちゅーこと。
「…けん、や、さん?」
「起きてもうた?まだ寝とってええよ」
しばらくぼーっと俺を見とった光は、急にボン!て音が出そうなくらい顔真っ赤にして布団に潜り込んだ。あぁ、さっきの思い出したんやろか。かわええ。
「光?なぁ、好きやで。光は?」
俺も布団潜って後ろから光を抱きしめる。光はさっきの質問の返事の代わりに俺が回した手をぎゅって握ってくれた。
愛しい。光が愛しいよ。これから先も光に優しくしたい。大事にしたい。何があっても、この手だけは離さない。
だって、ようやく掴めた俺だけの宝物だから。
お題提供:「確かに恋だった」さま
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