彼女は最近僕と一緒にいても僕を見てくれない。


と言うより、最近の彼女の視線はずっとある画面を見つめている。




「あ、また死んだ。アレン今日死ぬの3回目だよ」

「勝手に殺して勝手に溜め息つかないでくれませんか」

「このミミックなんでかアレンばっか狙うのよ。こざかしい奴め」

「あの、ゲームと喋るのやめてもらえません?僕肩身が狭いんですけど」



ミミックとは確か宝箱のフリをして相手を騙すモンスターだと彼女が先日教えてくれた。こざかしくて一番嫌いだと僕の棺桶に十字を切りながら彼女は言う。なに縁起悪いことしてんだこいつ。

彼女は今とあるRPGに夢中で、登下校の最中も僕の話を右から左にスルーしながらひたすら楽しんでいる。
しかもパーティには神田とラビと僕がいて、僕が一番弱いらしい。嫌がらせか。




「いた、」

「どうしたの」

「いや、ちょっと目にゴミが……」

「あれま」



さっきまでゲームにいそしんでいた彼女はこれは大変だと言わんばかりに僕の目を心配そうに覗きこんだ。
普段の彼女らしからぬ行動と、久々のドアップに少なからずドキドキしてしまう。



「あ、の」

「大丈夫大丈夫。ちょっと待っててね」

「あ、別に大丈夫ですよ。ちょっとゴロゴロするだけなんで」

「ダメよ、ちゃんと治療しなきゃ」

「…治療?」



頭に疑問符を浮かべた僕に彼女は笑顔で頷いた。


そして、









「ホイミ!」

「……」










僕の彼女は自意識過剰

(バカにしてんのかこいつ)




※ホイミ=回復魔法
その上級はベホイミである
お友達に使ってみよう!

※注意
当作品に関するあらゆる言動につきましては、責任を取りかねますのでご注意ください。友達と喧嘩しない程度にベホイミしてください
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