「チューしよっか」

「……」



驚いた。声もでないくらい。



「アレン、チューしよっか」

「わああああああああ!」

「え、なに」

「すみません、幻聴が聞こえたもので」

「おいコラ」



彼女の右手によって引っ張られた左頬の痛みで、先ほどの幻聴じみたセリフが現実だと理解した。まじか。欲求不満でついにおかしくなったのかと思ったのに。



「ベロチュー、ピカチュー、ハイチューどれがいい?」

「どうしてその3択なの」

「じゃあベロチュー、ピカチュー、ライチューどれがいい?」

「どうしてもその3択なの?」

「お勧めは2番です」

「ははっ」



ノーマルはねぇのかよ、ノーマルは。
なんですか、つまりはふざけたかっただけ。からかいたかっただけ?別にもう慣れてるし?今更落ち込んだりそんなことするわけが、



「……」

「アレン」

「…なんですか」

「元気出せ」

「どの口が言うんだ?あ?」



途端ぐいっと捕まれた胸ぐらに思わず身構えた。やべ、怒らせた!



「……」

「……」



殴られるわけでもわけでもなければ頭突きされることもなく、ただ口が塞がれた。

彼女のそれで。



「…、!?」

「ごち」







僕の彼女は自意識過剰

(どの口が言うんだ?あ?)

(この口ですがなにか?)






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