「リンクさんモテるでしょ」
初対面の挨拶もそこそこにその女性は眼を輝かせた。その答えにいったい何を期待しているのか理解できない。知ったところで貴女になんの関係が?と逆質問したい気持ちを抑えて笑顔を作った。人間、第一印象は大切だ。
「貴女の眼は節穴ですか?モテるわけないでしょう」
「本人からそんな答えが返ってくるとは思いませんでした」
「そうですか、満足ですか?」
「困惑してます」
「そうですか」
「でもお付き合いされた方はいらっしゃるんでしょう?」
「まあ人並みには」
「言ってみたいそんなセリフ!」
「何がしたいんですか貴女は」
処理能力を手放した頭を片手で押さえた。すると彼女はこっそりとその胸の内を明かしてくれた。頼んでもいないのに。
「恋愛偏差値を上げたいんです」
「恋愛偏差値?」
「恋愛に必要なヒットポイントとかマジックポイントですよ」
「君はどこのモンスターをハントするつもりなんですか」
「どこのダンジョンをクリアすれば手に入るんでしょう、恋愛偏差値」
「その残念な思考を捨てることが前提条件だと思いますよ」
「私に人間やめろっていうんですか!」
「そこまで高度なことを要求したつもりはなかったんですけどね」
「恋愛偏差値の上げ方を教えてくれませんか?お礼にこの前ネトゲで手に入れたツバメの巣をあげますから」
「いりませんよそんな物」
「た、高いんですよ、ツバメの巣!ネトゲ内だと800ペリカで取引されていて、ヒットポイントも満タンに回復できるんですよ!」
「知りませんよそんな物」
「リンクさんって不思議な人…」
「貴女がね」
リンクとゲーマー
20120415
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