「ねぇ、どうして」
「…なにがですか?」
「すごくすごく好きなことただ伝えたいだけなのに」
「は?」
「るるるるる〜」
「……」
「涙が出ちゃうんだろう」
「すみません、任務中にいきなり歌い出すのやめてもらえませんか」
「いや、楽しいかなって」
草むらで敵の出方を探ってる最中、彼女の口から出たのはかの有名なラブソングだった。この血生臭い状況にそぐわないことこの上なく、間違ってもそんなリア充曲を口ずさめるほど楽しい戦場ではなかった。
「楽しいのは貴女だけでしょ」
「楽しくないの?」
「楽しくないですね。無駄にドキドキするから心臓に悪いんですよ、いろんな意味で」
「病気じゃない?」
「ある意味ね」
恋という病なんで
言わないけど心の中で独り言て鼻で笑った。僕って意外と頭の中メルヘンチックだったんだ。寒気しかしない。
「寒いの?暖めてあげようか」
「遠慮します」
「よいではないか〜よいではないか〜」
「やめてください変態。警察呼びますよ変態」
「警察?そんなことで諦める私ではない」
「諦めてください。というかもう帰ってください変態」
「最近アレンに変態って言われると興奮するんだ」
「知りませんよそんなこと。知りたくもありませんよ」
「草むらってシチュエーションがまた……」
「オイなに考えてんだ変態」
「なんかムラムラ…じゃなかったドキドキする」
「コムイさん!助けてコムイさん!」
「ふふふ、嫌よ嫌よも好きのうち」
あれ、僕こいつのどこを好きになったんだ?
アレンと変態
(押し倒していい?)
(殴っていい?)
20110430
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