迷惑メール



「あ、また迷惑メール溜まってる」


本当に迷惑なメールたちだこと、こうしてくれるわ!
うるさい独り言をいいつつ小町はカタカタと先ほどのメールを操作している。迷惑メールくらいでうるさい女だ、一斉消去でもなんでもすればいいだろうと、なんとはなしにパソコンの画面を横目で見た。


「ねえ」

「なんですか団長」

「そのメール誰に転送してるの」

「見て分からないんですか」

「俺には宛先の登録名が誰の事だか分からないんだけど」

「やーだ、本気で言ってるんですか?この春雨にいる"アホ毛三つ編み"って言ったら1人しかいないじゃないですか」

「そう、そういうこと」

「転送しないことには消去できませんからね」

「どうしてそうなるのかな、お前馬鹿なの?」

「だってこれ全部出会い系サイトのお誘いメールですよ?必要な人に送ってあげなくてどうするんですか」

「そう、そのアホ毛三つ編みには必要だとお前は考えるんだね」

「ちょっと性に乏しい可哀想な子なんですよ。愛に飢えてるから喧嘩っ早くなっちゃったんでしょうよ」


遠い目をしながら納得したようにうんうんと女は頷いた。件名の2つ目には"眼帯中二病"の文字も並んでいる。思い浮かぶ顔が1つしかないあたり少し申し訳なく思うが、同盟相手にもくだらないイタズラを仕掛けてる女に普段ならいくらでも出る文句の1つも出なかった。


「ところで団長、先ほどから何を数えてらっしゃるんですか?3本立ててた指が1本まで減ってますけど、数を数える練習かなにかですか?」

「近からず遠からずだよ」

「まじですか。今度地球によったら計算ドリルも買ってきましょうか?」

「ああ、あと国語辞典も頼むよ」

「ガッテン」

「それで調べて欲しい言葉が1つあるんだけど」

「なんですか?私が知ってる言葉なら仕方ないから教えてあげますよ」

「仏の顔も3度まで」

「あ、それはですね」

「歯を食いしばることをお勧めするよ、馬鹿女」








迷惑メール









20120331


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