手くらい良いんじゃないか
あそこのどう見てもブス女ブサ男カップルだって、ヨボヨボのじいさんと孫っぽい援交カップルだって、前科が100位ありそうなオッサンとイケメンだって、みんな手を繋いでる。
だったらただの上司と部下の俺らが手を繋いでたって何ら不思議ではないだろう、いや別に繋ぎたいわけじゃねーけど。断じて繋ぎたいわけじゃねーけど。だいたい忘年会の買い出しかなんだか知らねぇが、日曜のこの時間帯に歌舞伎町をうろついてはぐれないというのが至難の業であるからして手は繋いでおくべきに決まってる、いや別に繋ぎたいわけじゃねーけど!
「おい」
「なに、隊長」
「お前手ェ……」
「オマエテー?なにそれ新種の天人?」
「ちがいまさァ!…あのな、手を、」
「あれ、あそこにいるの銀さんじゃないですか?」
「すこぶるどうでもいい。じゃなくて手、」
「あ、ドンキついたー!隊長、迷子にならないでくださいね」
さらりと繋がれた手に心臓が小爆発をおこした。
融解速度
20101224