愛称



彼女はアダ名をつけるのが好きだ。一度気に入ったアダ名は絶対変えない。

例えば?そうだなぁ。
例えば地球人の万事屋の侍は"残念侍"とか(天パとか糖尿病とか全てが残念らしい)真選組の頭は"肉まんさん"とか(前に肉まんを奢ってくれたそうだ)同じく真選組の茶髪の若者は"そうちゃん"とか(なんでこいつだけ名前しってんだよ)


兎に角彼女は1度言葉を交わして興味を持った人間には必ずアダ名をつける。


それは第七師団でも変わらない



「ぶーちゃんあのさぁ、」



ほらまた。



「ぶーちゃんって言うな。阿伏兎だ」

「……」

「腕まだ痛い?ぶーちゃん」

「人の話聞けよ」

「……」

「私も吉原に行けばよかったぁ。そしたらぶーちゃんが腕を負傷して家事に支障が出ることもなかったのに」

「お前は単に家事したくないだけだろ。当番制なのに1度も掃除・炊事・洗濯したことないもんなお前!」

「……」

「吉原のエロじじい懐かしいな…」

「話すり替えんなよ」

「……」

「ところでなんでさっきから団長は1言も喋らずにニヤニヤしてるんですか?気色悪いにもほどがありますよ」

「地顔だよ。喧嘩売ってる?」

「滅相もありません」



瞬速で頭を下げてきた彼女を尻目に頬杖をつく。



「考え事か?」



なんとはなしに聞いてきた阿伏兎は図星をついていた。



「まあ…考え事というより疑問だけど」

「団長の妹はパッチリオメメなのにどうして団長は目が線なのか?親を恨みなさい親を」

「短い間ありがとう。あの世でも元気でね」

「サーセン!」

「小町は少し黙ってろ。それで?何についてだ?」

「いや、何についてというか……まあ……」

「なんだ?」

「小町がどうしてアダ名つけるのか、とか」

「なんだそりゃ」

「だって阿伏兎はぶーちゃんだけど俺は団長ってなんかまともでしょ?鳳仙はエロじじいだし」

「…まさか羨ましいのか?」

「まさか(笑)」

「ちょ、なんでよ団長!」

「お前は30秒も黙れないのか」

「お子様だね」

「黙って聞いてれば言いたい放題言いやがって……!団長だけアダ名がないのが気にくわないんでしょ。そうだ。そうに決まってる!」

「何を言い出すかと思いきや。というか団長ってアダ名じゃないの?」

「違いますぅ。団長はアダ名じゃなくて団長の名前思い出せないときの咄嗟の苦し紛れですぅ」

「それ本人に言うことじゃないよね」

「お詫びにアダ名つけてあげます」

「いらない」

「減るものじゃないんだからいいじゃない」

「小町、あまり団長様を怒らせるなよ」

「怒らせるアダ名なんてつけないよ。私、団長のアダ名は前々から決めてたんだ」

「へぇ、なに?」

「団長が気に入ったらそれで呼んでも良い?」

「別に良いよ。で、なんなの?」

「よくぞ聞いてくれました。隊長のアダ名は、」



「素敵糸目!」



「ブッ殺す」

「なんで!?」








愛称

(見てないで助けてよ阿伏兎!)

(あー、そのアダ名は23点だな)

(点数つけてないで助けろ!)









20100811


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bkm
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