スカート




「男の子って意味わかんない」

「ほう」


隣の席の女がそうため息まじりに呟いたのは、2時間目終了のチャイムが鳴ってすぐのことだった。幸いこの時間には移動がないし、俺も女の子が男をどう見てるかに興味がなくもない。正直に言うと有りまくりだ。


「どこがわかんないの」

「すべてよ。基本男は地球外生命体と思ってるから」

「なんでよ」

「今日なんて登校中に勇者ごっこしてるやつがいたのよ、1人で」

「誰だよ、その痛い高校生」

「仲沢」

「ぶっ!」

「校歌の男性パートと女性パートを1人で歌おうとしてるやつも見たことあるし」

「そ、それも利央?」

「ううん、島崎先輩」

「ぶほっ、くくく、」

「……高瀬大丈夫?」

「わ、わり、ツボった。でも俺も女子ってわかんねーって思ったことあるよ」

「へぇ、例えば?」

「例えばスカートの下にジャージ履くやつ。あれは意味わからん。俺がスカート履くのとたいして変わんねーぞ」

「寒いのよ、想像を絶する寒さなのよ」

「寒いにしても、毛布をかけるとかさー」


そう笑っていった。笑って。しかし続きの言葉を言う前に眼光を鋭く光らせて、高瀬は分かってないと一息おいた太子がまくしたてた。


「スカートってどういうものか分かってる?この下スッカスカなのよ。風が通りまくるの、たまにめくれたりするの、意味わかんねーよ!」

「俺もわかんねーよ」

「これはただの腰布にすぎないのよ。防御に徹するのは中に鎮座する三角布のみ。こんな面積小さい布になにが出来るんだっつーの」

「ええー…」

「例えば下半身パン一のオヤジがいたとしましょう。女子高生となんら変わりません」

「変わるよ。少なくとも俺のライフポイントが変わる」

「女子高生の土偶スタイルに文句を言う前に、こんな防御力の低い腰布を制服にした日本政府に一言申すべきだわ」

「規模でけーよ。つーかスカート可愛いじゃん。俺は好きだよ」

「可愛さが防寒の足しになったら警察いらねーよ!そんなにスカートが好きなら明日から高瀬と私の制服を交換しましょうそうしましょう」

「ごめんなさい」


俺の謝罪とともに一端言葉を引っ込めた彼女だが、未だ興奮冷めやらぬ表情で俺をにらんできた。


「だいたい私、水着も理解できないのよねー。あんなの下着と一緒じゃん」

「まあ、言われてみれば」

「なんで水着はいいのに、下着だと公然猥褻物陳列罪になるのよ。だったら海で泳いでるやつら全員逮捕して来い」

「えー…」

「ああ、もう、ほんと女ってわかんない」

「俺ももっとわかんなくなったよ」







スカート







20120501

葉月さまリクエスト「おおふりで準太」
女の子のことが知りたい準太。でも本当に知りたいのはお前のことなんだと思う準太。それに気づかない彼女。じれってぇ。