「君は馬鹿ですか」
「どうしたのアレン。あなたの国ではそれが朝の挨拶なの?とんだ失礼極まりない紳士の国だね」
爽やかな早朝の光とともに気持ちの良い気分で洗面所に立つ人の気分を、早々にぶち壊してくれた自称紳士は至極機嫌が悪そうに私の隣に立った。
「僕は今とてもプライドが傷ついているんです」
「どうでもいいけどそうなんだ」
「ボロボロですよ、ボロボロ。君の顔のように見る影もない」
「私の顔のようにってどういうことだこの野郎」
「僕はね、それなりに君のことを好いていたんですよ。君が僕を好きっていうから仕方なくね」
「仕方なくってどういうことだこの野郎」
「それなのに君ときたら。君と!きたら!」
「私もアレンのこと好きだよ。毎日言ってるじゃん、お前の命令でな」
「僕の一番が君じゃないのは当たり前ですけど、君の一番が僕じゃないなんてよもや思いませんでしたよこのビッチ!」
「何どさくさにまぎれて浮気宣言してんだアレンこの野郎」
イラっとしてアレンの脇腹を小突くといつもなら軽くかわすはずの奴は、今日はそれをまともにくらいよろめいた。そしてものすごい形相でこちらを睨みながら、ドスの効いた声で一気にまくしあげた。
「今すぐその手にいる浮気相手を離してください。さもなくば太子の手ごと叩き斬りますよ」
「朝から何イノセンスの開放してんのやめてよDV紳士」
「君がそれを手放せばいい話です」
「どれよ」
「そいつですよ、そいつ。さあ離しなさい早く離しなさい。あと10秒で切りますよ」
「ちょっと待って。アレン何か勘違いしてない?」
「僕の浮気は許されますが、君の浮気は断じて認めません」
「私だって浮気は認めてないんですけどこの野郎」
「目に入れても痛くない、なんて浮気以外のなにものでもないでしょう」
「痛くないって、そりゃそうだけど」
「いいから、早く、離しなさい」
「そのコンタクト」
コンタクトレンズ
(ちょっと何流してんのよ!いくらすると思ってんだ馬鹿白髪)
(水責めの刑です)
((駄目だこいつ、早く何とかしないと))
201200714
みなと様リクエスト「ヤキモチやくアレン」
無機物にも嫉妬するアレンさんバカワイイって話