揺れた。
絶対かわんねぇって誓ったモンが、底から揺れたハタチちょい過ぎ。
このまんまでも好きなことには変わりない。
コーチのことも、
王サマのことも。
ウシロの方はきっと限りない0%で、コーチのトコは、100%今まで通り。
たぶん、コーチは。
……じゃあ、俺っちは?
「行っておいで」
この人の、こーゆーときも笑えるトコ、やっぱまだ好きだと思う。
「いつでも待ってるから」
その笑顔が何%ホントかわかんなくて、卑怯だけど忘れる日はこないと思う。
「天化も大人になったなァ」
結局まだまだコドモの俺っちの、たった一個の初恋で。
「いつか取られるんじゃないかとは思っていたけど」
初恋は叶わないってジンクスは、信じるには嘘っぽい。
笑い飛ばすにはちょっち痛くて、すがりつくにはなんか違ってて、わかるには難しくって。
やっぱ自分に100%にしか生きらんなくて、……そーゆーのって、やっぱ恋だと思った。
「ファイト!」
「…言われなくても頑張るさ」
「うん、それでこそ俺の天化」
「コーチ!」
「わかってる、もう言わない」
最後のキスはその人からで、鼻の頭に迷って止まった。
「じゃあ」
重なる声に込めたコーチと俺っちの4年が消える訳じゃない。
そんな保険かけるのも俺っちらしくないけどさ。
コーチの振ってるてのひらが、オトナで眩しくて、……絶対帰ってやんないって決めた。
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