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「なんでだろーなーぁーぁー…」
「自分が一番わかってるっしょ」
"絶対帰ってやんない"のビター記念日から1年の今日、未だ隣の0%。
「んなのわかってるけどよ」
「んじゃ反省」
「あい!」
空ジョッキ3+グラス2+ほとんど水のウーロンハイ。隣の女タラシの手が作る敬礼と、
「伝わんねぇさー」
「うぃ!」
「反省猿!」
「それ古い」
「反省!」
「ああーい…」
キャッチボールが机に埋もれた。天化の目の前に並ぶ空ジョッキ4+空グラス3+半分のウイスキー1。
「あーたも落ち着きゃいーのにさぁ」
「だぁらーぁ、おちつこうとしたやさきぃぃ」
「ハイハイもー聞き飽きたさ」
半分のウイスキーを空にして、思ってもない裏腹な口が干上がった。柄にもないことばかり言ううちに落ち着ききったダチのポジションは、想像よりは居心地もいい。
「冷たいよなー天化ちゃんは」
「優しいさ?俺っち」
「あーうっそだぁ、暑苦しいよお前」
「それってどっちさ?」
「んー、わかんね。天化っぽいカンジ?」
「わかんねぇさー」
「俺もー」
それっきりぱったり動かない口に頭に、
「王サマ?死んだ?」
「うぁ、死ぬとこ」
「生きてるさばーか」
残った隣のウーロンハイを傾けた。氷の生き残りが小さい乾杯。
間接キッス!そんなことで喜べるほど子供じゃない。そう言えば、初めて飲んだ頃は苦くて熱くて堪えられなかったっけ。隣にいたあの人が笑っていた。
「王サマー?」
「ゔぁー」
居酒屋チェーンの暗い木目と紺の合革。ボックス席の廊下側。天化の視界の隅を彩る、少し伸びた髪。長い指。
「吐く?」
「あーなんでぇ、死んでるだけー」
つい数時間前までその指に大事に遊ばれていたピカピカの黒いケータイ、の、部品たち。腹と腿がくっつく前屈の筈のそれは、長いシャンパンピンクのフレンチネイルでもって背中と膝の裏が仲良くくっ付けられていた。
仲良く絡まるむき出しの赤と青に銀のコイル。
違う意味でキモチワルイ。

「…泡盛」
走り回る店員の背中と"ハイ喜んでー!"
「べつに俺っちなんも喜んでねぇさぁー」
「なーにぃ、まだ飲むのー?」
「下戸じゃないかんねー」
答えながら天化の額が机に近付いた。
「あーいどうせ下戸ですよーだぁ悪かったなー」
悪態と一緒に持ち上がる頬と眠たげな発の額が、また机にひっつきに戻る。酔った頬よりも体重を支える額の方が赤かった。
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